健康一言アドバイス

貧血とは?

貧血とは、呼吸により体内に取り込んだ酸素を体中の細胞に運ぶ役割を担っている血液中のヘモグロビンの濃度が低下(成人男子は13g/dl未満、成人女子や小児は12g/dl未満、妊婦や幼児は11g/dl未満)している状態をいいます。よく「立ちくらみ」をした時に、「“貧血’’だ」とか「‘‘脳貧血’’を起こした」と言うことがありますが、これは、急に立ち上がったりした時に血液の循環がうまく行かず、血圧が低下することで起こる“起立性低血圧”というもので、‘‘貧血’’ではありません。

症状

貧血になると階段を上がったり、長時間歩いたりすると息切れなどを感じるようになります。また、急に立ち上がったわけでもないのにくらくらする場合は、貧血が疑われます。これらの症状が起きる原因は、ヘモグロビン濃度の低下により、体内にいきわたる酸素量が減ってしまうからです。
へモグロビンをつくるのに必要な鉄分不足による貧血(鉄欠乏性貧血)では、氷を好んで食べたくなる“氷食症’’や、爪の中央がへこみ、先が反り返る“スプーンネイル”になったりするほか、イライラや注意力の低下などの症状がみられることもあります。

原因

原因はたくさんありますが、最も多く見られるのは鉄分の不足です。若い女性は、月経による出血やダイエットによる鉄分摂取不足により鉄欠乏性貧血になりやすい傾向があります。
また、ビタミンB12や葉酸の不足で貧血になることがあります。
その他、胃潰瘍などの出血でも鉄欠乏性貧血になりますし、胃や大腸のがんによる体内での出血が貧血を招いていることもあります。血液を作るしくみに異常がある骨髄異形成症候群などの病気が原因となっている場合もあります。貧血以外に症状がなくても、何か病気が潜んでいる可能性がありますので注意が必要です。血液検査である程度の原因はわかりますので、貧血の症状が続くようであれば、かかりつけ医や血液内科の医師に相談してください。

貧血の予防

鉄欠乏性貧血に対しては、鉄剤の内服が有効です。鉄剤には色々な種類がありますので先生と相談しましょう。
食品中の鉄には、レバーや赤身肉などの濃い色の肉、赤身魚やあさりなどの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と、ひじきやほうれん草、プルーンなどの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。ヘム鉄の方が圧倒的に吸収率はよいですが、非ヘム鉄もビタミンCを多く含む果物を一緒にとると吸収率が上がります。鉄の吸収には、亜鉛や銅などのミネラルも重要ですので、バランスの良い食事をとるよう心がけましょう。もし、貧血の原因となる疾患がある場合には、まずその治療をすることが先決です。

輸血細胞治療部 部長 医師 大石 晃嗣

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