健康一言アドバイス

新型コロナウイルス感染症は5類へ

新型コロナウイルス感染症、「5類へ移行」とは?

「健康一言アドバイス」では、医療や健康など皆さんに身近な疾患や気になる話題を取り上げ、その領域の専門家がわかりやすくお伝えしています。
今回は、最近ニュースでよく目にする「新型コロナウイルス感染症が5類へ」について、解説します。

感染の広がりを抑えるための法律「感染症法」

感染症は人から人に伝播していくため、感染の拡がりを抑えるためには、法律によって一定の制限を行う必要があります。その法律として「感染症法」があり、感染した場合の危険性に応じて「1類〜5類」(数字が少ないほど危険性が高い)に分類されるほか、「指定感染症」、「新型インフルエンザ等感染症」などの分類があります。

この法律の中で、新型コロナウイルス感染症は、当初、「指定感染症」、後に「新型インフルエンザ等感染症」に位置付けられ、2類感染症相当の対応が行なわれてきました。これにより、新型コロナウイルス感染症に罹患した場合に入院することや、濃厚接触者になった場合に自宅待機することが法律で決められていました。

特別なものから通常の感染症へ

しかし、新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更されると、このような法的な規制がなくなります。また、現状では、新型コロナウイルス感染症が疑われる方や陽性となった方を診療する医療機関を行政が指定していますが、5類感染症に変更されると、医療機関の指定といった対応がなくなります。 当初は厳しい法的規制をしていたものが、5類感染症であるインフルエンザと同等の対応に変更になるということは、コロナウイルス感染症が、新たに出現した特別なものから、通常みられる感染症に変わってきていることを意味します。

マスク着用はどうなるのか

5類感染症への変更に向け、3月13日から、マスクの着用が個人の判断となった点は大きな変更と思います。医療機関の受診時や高齢者施設の訪問時、混雑した電車・バスに乗車する際などは、周囲の方に感染を拡げないため、マスクの着用が求められますが、それ以外の場面ではマスクの着用が任意となります。
この3年間、人と会う時は、基本的にマスクを着用した状況であっため、マスクの位置付けが変わることは、我々の生活に大きな変化をもたらすと思います。また、大人数での飲食やイベント開催などについて、今まで延期されたり、規模を縮小して行われてきましたが、徐々に従来の形に戻っていくことが予想されます。

でも、感染対策は引き続き重要!

5類感染症に変更になってもウイルスがいなくなるわけではないため、感染対策に注意が必要な点は変わりません。

今般の新型コロナウイルス感染症の流行によって、手洗いや手指消毒、マスクの着用などの基本的な感染対策が普及しました。これらの感染対策は新型コロナウイルス感染症に特化したものでなく、他の感染症にも効果がありますので、外から帰った時や食事の前などに手を洗うこと、咳が出ている時はマスクを着用すること(咳エチケット)は今後も続けていただきたいと思います。

日本で新型コロナウイルス感染症に罹患した人は、3,300万人程度で、人口の30%弱になります(2023年3月時点)。世界をみると人口の50%以上が罹患した国も多いため、日本は比較的罹患者が少ない国の一つとなっています。

ワクチン接種によって一定の免疫は得られていますが、ワクチンで完全に感染を防げるわけではないため、再び感染者が増え、第9波を形成する可能性もあります。感染症の流行状況も見ながら必要な感染対策を行っていただきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症を振り返って

2009年の新型インフルエンザと比較し規模が大きく、流行期間が長いパンデミックでした。当初は、治療薬もワクチンもなく、感染対策物資も枯渇する中、手探りでの対応となりましたが、行政機関、医療機関、国民のみなさまの協力で、なんとか乗り越えられたと思います。感染症を専門とする医師としても、この経験を次のパンデミック対応に生かすことができればと思っています。

感染制御部 部長 田辺正樹

感染制御部 部長 田辺正樹

感染制御部 部長
田辺正樹

循環器や感染症を専門とし、国立国際医療センター、三重大学病院、山田赤十字病院、米国ピッツバーグ大学などで臨床・研究に携わる。また厚生労働省において地域医療や感染症対策などの医療行政にも従事した。2019~2021年度は、三重大学病院感染制御部から三重県庁に出向し、三重県医療保健部医療政策総括監を務めた。この間に、ちょうどパンデミックを迎え、県の新型コロナウイルス感染症対策で中心的な役割を担った。

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