VOICE

看護部 新体制

第一回目は、2023年春、新しく当院看護部の部長、副部長に就任した3人のVOICE。
病院の中でも患者さんと関わることが最も多い看護チームのさらなる進化に向けた抱負などについて聞きました。
それ行け!三重大学病院。それ行け!三重大病院看護部。一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供するために。

看護部
部長福永 稚子
副部長(教育担当)河俣 あゆみ
副部長(業務担当)林 智世
看護部の方々
左から、河俣副部長、福永部長、林副部長

みんなの力を集め、大きな力に

まずは、看護部長から今回の就任に際して抱負を。

福永部長
福永

看護部長を務めさせていただく責任の重さを日々感じつつ、看護職をはじめ、多職種の皆さんに感謝の毎日です。
そんなみんなの力を集め、大きな力にして、「一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供する」という当院看護部が大事にしてきた理念の実現にむけて、努めていきたいと思っております。

看護部長として優先すべき仕事は何だと考えていますか。

福永部長
福永

「一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供する」という理念を実現するための環境づくりです。

医療の現場では、常に何かを選び、決めることが求められます。最善の看護を目指したとき、それぞれの看護職員が「患者さんにとって何が良いか」をまず自ら考え、行動できる組織でありたいです。

一方で、重症患者さんが多い現場では、どうすることが良いことなのか悩むこともあります。そんな時、自分一人で頑張るのではなく、みんなで乗り越えるのだと職員が思える職場にしていきたいと思います。

一人ひとりの患者さんに「良かった」と思っていただける病院であるために、環境を整え、日々奮闘しているスタッフを支えていくことが、看護部長として優先すべき仕事だと考えています。

福永部長

看護体制を強化するための取り組みについてはどうですか。

福永部長
福永

三重大学病院は、高度急性期医療を担う病院です。平時だけでなく、感染症のパンデミックや災害時といった有事にも高度急性期医療を担えるように、急性期看護に強い看護職をさらに増やしていきたいと考えています。
また、患者さんが入院している今だけでなく、入院前の生活の様子を知り、退院後に患者さんが困らないように、地域の医療・福祉従事者の皆様とのさらなる連携強化にも取り組んでいく予定です。

平時から有事、また、患者さんの今と将来を考えて、必要とされる看護を提供できるようにしていく、ということですね。

福永部長
福永

その通りです。そして、平時でも有事でも、治療中も治療後も、どのような場面・場所においても、患者さんにとって何が最善かは、患者さん一人ひとり違います。患者さんの思いに目をむけ、患者さんとともに考える看護を看護部全員で目指していけたらと思っております。

皆で成長しあい、働きやすく、やりがいのある職場づくり

先ほど、福永看護部長から「理念を実現するための環境づくり」という話が出ました。業務担当として、林看護副部長にとっても大きなテーマだと思います。

林副部長

冒頭、看護部長からもあったように、当院の看護部の理念は「一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供する」です。この実践において、看護職員だけでなく、病院で働くすべての職員が効率的で働きやすく、やりがいのある環境を整えることが欠かせません。

まだまだ手探りの状態ですが、よりよい職場にするために、私自身に何ができるか考え、みんなと相談しあいながら、このテーマに尽力していきたいと思っています。

林副部長

具体的に進んでいる取り組みはありますか。

林副部長

現在、特定行為研修を修了した看護師が、医師と協働して患者の治療にあたったり、特定の職種だけが行ってきた医療処置を様々な職種も行えるようになってきています。
看護職が「いっぱい、いっぱいだ」と感じてしまわないよう、タスク・シフト/シェア、多職種との協働体制の整備、チームワークの強化など、新体制の中で改めて現状を見直し、働きがいのある、より良い職場づくりのための取り組みを進めているところです。

*高度かつ専門的な知識・技能を有する看護師だけが、診療の補助として、医師の手順書に沿って行える医療行為を特定行為といい、それを行うために修了しなければならない研修を特定行為研修という。

河俣看護副部長の担当分野からは、理念を実現するための環境づくりにどう関わっていきますか。

河俣副部長
河俣

今回、拝命した教育担当の副看護部長の大きな役割は、人材の育成とキャリア支援です。
人材育成の分野では、将来看護職をめざす学生の皆様への教育に寄与できるよう、様々な教育機関からの実習受け入れや連携の強化を考えています。
また、三重大学病院で勤務する一人ひとりの看護職が、その人らしくキャリアアップしていけるように支援していきたいです。

どのような業界でも、女性のキャリアアップとライフイベントの両立はまだまだ課題と言われます。

河俣副部長
河俣

当院でもそうした課題をクリアできるよう、勤務する一人ひとりの看護職が、ライフステージに合わせて、その人らしくキャリアアップしていけるように、働き方の選択肢の他、院内に研修プログラムや認定制度などを用意しています。
それぞれの成長を支援し、同時に「一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供する」を実現するためにも、こうしたプログラムのさらなる充実など、部署の師長・副師長をはじめ皆様のお力をお借りしながら、進めていくつもりです。

河俣副部長

最善の看護の提供に向けて、スタッフのいろいろな成長の形をサポートしていくということですね。

福永部長
福永

看護職は、患者さんの異常を早期発見するという仕事柄か、自分たちの看護のあり方を客観的に見たとき、「できていないこと」に目を向けがちです。質の向上のためには、その視点も必要ですが、「できていること」を認めることもとても大事です。
日頃の看護についてみんなで語り合い、認め合い、みんなで成長しあえるような機会を新体制ではより積極的に取り入れていきたいと考えています。

三重大学病院看護部の強み

ところで、三重大学病院での勤務歴が長い3人の目から見て、当院の看護部の強みをどう分析していますか。

福永部長
福永

患者さんを大事にする倫理観と、有事のときに全員参加で対応する力が大きな強みだと、私は思っています。     
例えば、全力で命を救う緊張の高い現場であっても、モニターだけに注目するのではなく、患者さんを直接看ることを当院の看護職はとても大事にしています。患者さんが希望することは何か、その理由はどこにあるのかをよく聴いて、患者さんの希望に近づけられるように現場で話し合う習慣も根付いています。

もう一つの全員参加の対応力というのは?

福永部長
福永

それが顕著に発揮された例が、新型コロナウイルス感染症の患者さんのケア体制です。
当院では、一つの部署や一部の看護職だけがそのケアにあたるのではなく、全ての部署、看護職が交代で担うようにしてきました。そのおかげで、ある部署でクラスターが発生しても、他部署の看護職員が自発的に応援に入り、事務の皆さんとともにあっという間にゾーニングなどを進めることができていました。
コロナ禍は誰も経験したことのない状況の連続でしたが、有事のときに全員参加であたれる風土が当院の底力の一つであると改めて強く実感した期間でした。

看護部部長と副部長の談笑

河俣副看護部長、林副看護部長の目からはどうですか。

河俣副部長
河俣

“患者さんの思いに耳を傾けられているだろうか”、“患者さんにとって最善とは何だろうか” といった、患者さんを中心にした看護を考え、実践しようという姿勢が強みだと思います。
看護部長が先に挙げた、看護職員それぞれが倫理観を大切にしているということが大きな力になっていますし、各部署が、さらに良くするための取り組みや課題を明確にして、チーム力を発揮してくれていると感じています。

林副部長

日々の仕事の中で、看護師が論理的に考えるという力を養い、根拠を持って看護を提供することを大切にしていること。また、一人ひとりの患者さんに応じた看護を提供するために、チームでいろんな意見を出し合い、より良い看護が提供できるよう日々頑張っていることも強みとして挙げたいです。
こうした姿勢が、例えば、いろんな説明を行う際にも、患者さん、ご家族に合わせた具体的でわかりやすい内容につながっていると思います。

いずれも、「一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供する」という想いの形と言えそうですね。そんな看護部から、患者さんへメッセージをお願いします。

福永部長
福永

病を抱えたとき、その病を受け入れていくことは、たやすいことではないと思います。また、病を抱えて人生を歩むことに困難を感じられることもあるかと思います。
医療者は、患者さんの人生を下支えする役割を担っています。私自身は、看護という仕事は、患者さんや家族の傍らにいて、プロとしての判断をしながら伴走することだと解釈しています。気がかりを抱えたときはお話ししてみてください。私たちが患者さんに必要なチームをつくり、サポートさせていただきます。

林副部長

様々なご病気で三重大学病院に来られる患者さんやご家族の立場に立って、一緒に考えられる看護師でありたいと思っております。
患者さん、ご家族のご心配やお困りごとに応じて多くの専門職でサポートさせていただきますので、いつでもご相談ください。

河俣副部長
河俣

当院の看護職は、「一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供する」ことを理念として、患者さんの思いや希望に耳を傾け、患者さんやご家族がその人らしい生活が送れるように支援したいと考えております。不安やご心配がありましたら、どうぞ私たち看護師にお聴かせください。
看護師だけでなく様々な専門家が、患者さんとご家族を中心に考えた支援をさせていただきます。

看護部のマネジメントチーム
水谷泰子副部長(前列左)と小瀬古隆副部長(後列左)に、新しく福永部長、河俣副部長、林副部長が加わった看護部のマネジメントチーム。一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供するために、力を合わせていきます。
福永部長

福永部長の横顔

小学3年生の時にナイチンゲールの伝記本を読み、そのやさしさに憧れを抱いたのが、看護師をめざしたきっかけ。その後、祖父母の介護・看護体験を経て、この道に進む。
看護師になってからは、ホスピスボランティアや補完療法の勉強で2年ほど英国に出た以外は、一貫して三重大学病院に勤務し、「目の前の患者さんのつらさをなんとか和らげたい」との思いから、がん看護専門看護師の資格を取得。多職種の力を集めることで患者さんの希望に近づけるという体験から、チーム医療のすごさを実感してきた。患者さんの「楽になった」という言葉や笑顔が、元気と仕事を続けてこられた糧。
プライベートでは、カヌーや山登りをするアウトドア派で、「自然を五感で満喫しながら、友人と食べて笑うことが何より楽しい」と話す。家では、冷蔵庫の前で好物のヨーグルトを催促する5歳の愛犬が癒し担当。

河俣副部長

河俣副部長の横顔

中学生の時に看護師になりたいと思ってから、ぶれずに看護師の道へ進む。成人の外科病棟や外来などを経て、新生児集中治療室、小児科病棟でたくさんの子どもたちやご家族と関わったことから、小児看護に貢献したいと小児看護専門看護師の資格をとり、それを実践してきた。その経験を生かし、小児がん拠点病院である当院の小児・AYAがんトータルケアセンターの師長をセンター開設時から務める。
座右の銘は、「春風を以て人に接し秋霜を以て自らを慎む」(“春風のような優しさで人に接し、秋の霜のような厳しさで自らを律する”との意味)。
趣味は旅行。コロナ禍が落ち着いたら、「国内でまだ訪問がかなっていない3県を制覇したい!」とのこと。休日は、愛犬との時間が何よりものリフレッシュ。

林副部長

林副部長の横顔

21年前、当時の副看護部長に勧められ、まだ取得者が少なかった皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を取得。ストーマ(人工肛門・人工膀胱)を持つたくさんの患者さんやそのご家族、そして看護師と一緒にストーマケアについて悩み、考え、患者さんに「上手くいったよ。これなら大丈夫」と言ってもらえた多くの関わりが自分自身の成長につながり、今の自分があるのだという。
料理、整体やリンパマッサージなど、「楽しい」「気持ちいい」を感じることが休日のリフレッシュメニュー。今年からゴルフを始め、まだまだ気ままなボールが、まずは“真っすぐ飛ぶ”ように練習中。

医療スタッフや事務職員、外部委託のスタッフを含め、三重大学病院の日々の運営に携わるのは、総勢約2500人。表から、裏から様々な形で関わるその一人ひとりの力や想いが、平常通りの診療を支えています。
安全な診療、優れた診療、質の高い診療、いずれも技術や設備だけでは成し遂げられません。
VOICEのコーナーでは、いろいろなスタッフの声を通して、三重大学病院の診療に欠かせない「人」としての側面をお伝えします。

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