CANCER MEWS(キャンサーミュース)

がん診療連携拠点病院に再指定

─ 高齢者のがんなど、三重県の診療体制のさらなる強化に向けて ─

「がん診療連携拠点病院」は、全国どの地域の方でも質の高いがん医療を受けることができるよう厚生労働大臣が指定しているもので、がん診療に関わる専門的人材の配置や体制、診療実績、相談支援体制など様々な要件について4年ごとに審査が行われています。2023年度、三重大学病院は「都道府県がん診療連携拠点病院」に再指定されました。
三重県のがん診療体制の向上における役割などについて、当院のがん支援センターの水野聡朗センター長に聞きました。

水野聡朗

がん支援センター センター長
腫瘍内科 科長 水野 聡朗

「がん診療連携拠点病院」とは、どんな役割を持つ病院なのでしょうか。

「がん診療連携拠点病院」は、専門的ながん医療の提供、患者さんへの相談支援や情報提供、地域のがん診療の連携協力体制の整備などの役割を担う病院です。国が定める指定要件を踏まえて都道府県知事が推薦し、厚生労働大臣が認可する形で指定されます。
がん診療連携拠点病院には、各都道府県で中心的役割を果たす「都道府県がん診療連携拠点病院」と、都道府県の各地域で中心的役割を果たす「地域がん診療連携拠点病院」があります。そのうち、当院は前者の都道府県がん診療拠点病院となります。

がん診療連携拠点病院指定書

三重大学病院は、三重県のがん診療連携拠点病院として、2007年から継続的に指定を受けてきました。

国が定める指定要件には、診療体制の整備、診療実績、患者さんの支援活動など様々な項目があります。こうした指定要件に関する活動に、当院のがん支援センターを牽引してきた前任のセンター長をはじめ、関係する部署のスタッフが非常に熱心に取り組んできました。こうした地道な活動の積み重ねが高く評価され、継続的な認定につながっているのだと思います。

三重県のがん診療の拠点
三重県のがん診療の拠点
都道府県がん診療連携拠点病院である三重大学病院を中心に県下の主要医療機関が連携し、三重県のがん診療体制を作っている。

そうしたこれまでの取り組みをベースに、今後はどのようなことに力を入れていきたいと考えていますか。

昨年公表されたがん拠点病院の指定要件に、高齢者のがん治療の診療体制整備が新たに盛り込まれました。高齢化社会を迎えた我が国において、避けて通れない問題です。
高齢者の治療方針を決定する場合、患者さんの体力や生活環境、持病の有無、価値観、認知能力など多くのことをくみ取る必要があり、多職種でのサポートが重要になります。三重県の現状を踏まえて、早急に診療体制の整備を行いたいと考えています。

現在、日本では二人に一人ががんになる時代と言われています。最近のがん治療の目立った動向にどんなものがありますか。

薬物療法の世界では、腫瘍の性質にあわせて治療薬を選択するという「個別化治療」が多くのがんで普及してきました。こうした流れは、薬物療法だけでなく、今後は放射線治療などでも期待されています。
また、内視鏡検査などの画像診断や病理診断において、人工知能(AI)の活用が重要になってくると思います。

公開講座の様子
がん診療連携拠点病院として、地域の方々を対象にがんの予防や治療に関する公開講座も定期的に開催している。

当院のがん支援センター長として、がんの治療に向き合っている方々やご家族の方へのメッセージをお願いします。

多くのがんにおいて、新しい診断技術や治療法の進歩により、治療成績は改善しています。がんと診断されても、患者さんが安心して治療に取り組み、日常生活が送れるよう、当院のがん診療に関わる多職種の専門家がしっかりサポートしていきたいと思います。治療はもちろんのこと、様々な相談にも対応していますので、主治医や看護師、職員に遠慮なく声をかけてください。

関連記事

ページ上部へ戻る