はたらく@三重大学病院

職員のウェルビーイングを考える
─ 職員幸福度向上ワーキンググループ ─

働く人々が働く場で、心身ともに、そして社会的にも健康で良好な状態であること。それを意味する「ウェルビーイング」という言葉が、今いろいろな職場で注目されています。
昨年、当院でも職員のウェルビーイングの実現を目指すあるグループが始動しました。それは、「職員幸福度向上ワーキンググループ」。多様なメンバーが意見交換を重ね、職員の幸せ度アップに向けた実際の取り組みに落とし込み始めています。
メンバーの一人、竹内看護師長がその活動をご紹介します。

看護部 
看護師長 竹内 美幸

多職種で話し合う場をつくろう!

2022年に池田病院長が就任した際、「患者さんの幸せのためには、まず職員が幸せであることが望ましい」という方針を示されました。
しかしながら、コロナ禍の当時、長く続いていた厳しい感染防止対策を伴う診療だけでなく、職員のコロナ感染などもあり、病院全体に疲れた雰囲気がありました。その時期に、正直自分たちの幸せを考えるどころではありませんでした。
そんな中で、職員が「楽しい!幸せだ!」と感じながら働ける環境について多職種で話し合う場として「職員幸福度向上ワーキンググループ」が発足することになりました。
水野修吾副病院長をリーダーに、医師、看護師、薬剤師、臨床工学技士、診療放射線技師、臨床検査技師、公認心理師、事務職員と、職種も年代もさまざまなメンバーが選ばれました。

原因追及に偏らない議論への転換

まず、看護師をはじめとする職員の離職を止めよう、そのために何かできることがないか、ということから話し合いが始まりました。しかし、初回の会議では離職が多い原因追及を行い、「なぜ離職するのか?」について論点が集まり、何となく重苦しい雰囲気が強かったです。
そこで、2回目以降の会議から発想を変えて、「働き続けたい職場とは?」ということに視点を置き、ポジティブな要素を話し合うWGとなりました。それからは、みんなが率直な意見を出し合っています。

定期的に実施されるワーキンググループの打合せでは、職種や年齢を超えて意見が活発に飛び交う。

尊重し合い、協力し合える職場を目指して

病院で働く人が自分の仕事を楽しいと思えること、そして、一緒に働く人たち、それぞれがお互いのことを尊重しつつ、協力できる職場というのが、以前にも増して求められていると思います。職種に関係なく、自分の意見を率直に言え、相手の意見を受け入れられる関係性を作ることが心理的安全性において重要ではないでしょうか。
また、仕事とプライベートを両立して働き続けられる環境をどのように整えていくのかも、ワーキングの中でも考えていければと思っています。

職員の幸せと診療サービスの質向上

職員が仕事に楽しさや誇りを感じ、幸せであればあるほど仕事に対するモチベーションが上がり、その能力が存分に発揮されやすくなると思います。
そして、職員同士の関係性がさらに深まれば、当院が強みとするチーム医療の効果がもっと発揮され、それが結果的には患者さんへの診療サービスの質向上につながっていくと思います。

議論やヒアリングから生まれたアイデアを形に

ワーキンググループの始動から約1年半。継続した長期的な取り組みが前提ではありますが、議論やアンケートの中から生まれたアイデアを少しずつ形にし始めています。
例えば、コロナの後遺症や勤務中の体調不良の際に、職員がスムーズに本院で受診できる体制を整えたり、多忙な勤務の合間でもランチは楽しくリラックスして過ごせるよう、おいしくて、さらに、リーズナブルなメニューを提供してくれるケータリングのお店を新たに選定し、これまでにないメニューを院内で購入できるようにしました。
また、多職種が気軽に交流できる研修プログラム(サバティカル研修)を計画し、今年度は5回実施しました。
3月には、職員のお子さん(小学生・中学生)を対象に病院見学ツアーの開催も予定しています。ご家族にも病院での仕事について知っていただくことで会話のきっかけになり、職員のモチベーション向上につながっていければと期待しています。

日本聴導犬協会の協力で行われた犬を介したサバティカル研修

私自身、人によって、また職種によってさまざまな事情や価値観があることをわかっていたつもりでしたが、このワーキンググループに参加したことで改めてその認識を強くしました。
働きがいやワークライフバランスのあり方もそれぞれですが、これからも多様な声を聞き、三重大学病院ならではの「働き続けたい職場」を実現していければと思います。

「はたらく@三重大学病院」では、働く場という視点で三重大学病院の取り組みをご紹介します。当院が理念に謳う「信頼と安心が得られる地域医療の拠点」として、質の高い医療を提供し、社会に貢献していくためには、スタッフが誇りと安心を感じつつ、それぞれの力を発揮できる職場である必要があります。そのための取り組みはもちろん、採用情報や研修制度など、いろいろな切り口で話題をピックアップしていきます。

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