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病棟火災避難訓練 「机上訓練編」

万が一病院で火災が発生した時、病院職員は自分たちの安全を確保しながら、患者さんの命と安全を守り、消火活動や避難を行う必要があります。
当院では、消防法に基づき年2回以上の火災実働訓練を実施していますが、より内容の濃い訓練にするため、机上で災害発生時の対応をシミュレーションする、机上訓練を事前に行うことがあります。

「医療と防災」の9回目は、10月17日(火)に行った、病棟火災対応の机上訓練の様子と、当院の看護部の火災対応に関する取り組みについてお話します。

机上訓練とは

災害発生を想定したシナリオに基づき、どのように対処すべきかを机の上で議論しながら、決定していくシミュレーション型の訓練のことを机上訓練といいます。
災害対応の全体像が把握しやすく、実際の動きをイメージしやすくなるため、当院では積極的に導入しています。

アクションカードを使用し、机上訓練を実施しました

皆さんは、万が一火災発生に直面した時、自分がすぐに適切な行動をとれるという自信はありますか?
すぐに冷静かつ的確に行動することはなかなか難しいのではないかと思います。

当院では、火災発生時の混乱の中でも、職員が一目で何をすべきか確認できるように、優先順および時系列での行動指標を示した『アクションカード』を作成しています。

アクションカード1
アクションカード2

今回の机上訓練では、様々な職種の職員が集まり、この火災対応アクションカードに沿って、病棟火災発生時の職員の行動や、患者さんへの対応についてシミュレーションを行いました。
アクションカードに示されたアクションを一つずつ確認しながら、どのように人員を配置するのか、患者さんを速やかに避難させるためにはどうしたらいいのか等を検討し、実際の行動手順の理解につながる実りある訓練となりました。

机上訓練の様子1
机上訓練の様子2

看護部の火災対応への取り組み

病院で働く職員の職種で最も多いのは看護師です。また、患者さんとの接点が多いのも、やはり看護師です。
そこで、当院の看護部では、いざという時に看護職員が迅速に動くことができるように、病院全体の訓練に加えて、独自に様々な取り組みを行っています。そのうちのいくつかをご紹介していきます。

新人研修プログラム「災害防災会議」

新入職員が最初に受ける研修プログラムには、火災対応が含まれています。
消火・安全・移送・避難誘導に関する講義と実習の後、総合演習として火災対応訓練を行います。
また、ARアプリ・ゴーグルを使用して、より現実感のある消火体験も行っています。

煙を吸わないよう低い姿勢で避難
シーツを使用した緊急救助
ARゴーグルを使用した消火体験
ARの映像を見ながらみんなで初動対応

災害リンクナース会(病棟)

各病棟から一人ずつ災害対策を担当する看護師(災害リンクナース)が選出され、月に一回、災害対応についてディスカッションやミーティングを行い、そこで得た知識や情報を各病棟の看護師にフィードバックしています。
今年は、火災対応の机上訓練を各病棟で実施できるように、「火災対応机上訓練キット」の準備から計画、また訓練のファシリテーションの練習を重ねました。

病棟の地図、患者さんや職員に見立てたパーツ、課題カード等を含む机上訓練用のキットです。
どの部屋の患者から避難させるか、どのような方法で避難させるかなどの対応について、より具体的に検討することを目的に、当センター看護師が独自に作成しました。

災害リンクナースの支援での机上訓練を行うことで、多くの看護師に火災対応を知っていただく機会になっています。

アクションカードを見て初動をとる練習

外来火災対応

外来では、勤務形態や業務内容の特性を考慮し、2か月ごとに火災対応についてまとめた冊子を各部門に配布しています。これは、外来の空いた時間に各自で演習を行い、火災対応の知識習得ができるようにするための取り組みです。
また、この冊子も看護部がオリジナルで作成しているものです。

当院では、実際に活動する火災訓練だけでなく、このような研修や机上訓練も取り入れ、いざという時に知識に裏付けされた行動を迅速かつ適切にとれるように訓練を重ねています。
次回は、病棟での多職種参加の火災実働訓練についてお話ししたいと思います。

災害対策推進・教育センター 担当:[はるか]

三重大学病院は、万が一の災害時に地域の救急医療を担う「災害拠点病院」に指定されています。
災害発生時に、災害による負傷者への対応だけでなく、入院患者さんの医療を継続するという複数かつ重要な役割を適切に実行できるよう、当院では平時から様々な取り組みと準備を行っています。
Online MEWS「医療と防災」では、当院の防災対策やみなさんに役立てていただける防災のヒントをお伝えしています。

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