それ行け!三重大病院(診療科・部門紹介)

漢方医学センター

今回ご紹介するのは、「漢方医学センター」。専属医師だけでなく、鍼灸師や漢方薬・生薬認定薬剤師とともに、身体が本来持つ自然治癒力に注目した専門的な漢方治療を提供しています。
それ行け!三重大学病院!それ行け!漢方医学センター。西洋医学だけでは解決できないさまざまな症状の緩和や治療を目指して。

漢方専門医/指導医による漢方診療

三重大学病院の「漢方医学センター」は、2022年4月に新設された漢方診療に特化した部門です。当院における漢方医療はそれ以前からの歴史があり、当センターは、2010年5月に開設された「漢方外来」を前身としています。
日本東洋医学会認定の漢方専門医/指導医の資格を持つとともに、「漢方外来」から一貫して治療に当たり、大学病院での漢方治療における長年の経験を持つ医師が、専門的な漢方診療を行っています。

鍼灸部門もあり、漢方治療を受ける患者さんのうち、医師が必要と認めた場合に、鍼灸師による鍼灸診療(自費)を提供できるようにしています。担当医も鍼灸の知識と経験があるので、場合によっては鍼灸治療を行うこともあります。

また、院内外に向けた漢方医学に関する情報や学習機会の提供を推進する拠点として、漢方薬・生薬認定薬剤師の資格を持つ2名の院内薬剤師が加わって、講演会、定例カンファレンスや抄読会なども行っています。

髙村光幸准教授

漢方医学センター
センター長・病院准教授
髙村光幸

漢方医学は、比較的近年になって医学教育カリキュラムにも取り入れられ、日常診療において漢方薬を処方する医師が増えました。しかし、専門性をもって教育や臨床を行ってきた医師はごく少数です。当センターでは、学会認定の専門医を指導する立場の医師が診療に従事しており、保険診療の範囲内で使える煎じ薬(個々の患者さんに合わせた、いわゆるオーダーメード)処方にも対応していますので、本気で専門的な漢方の治療を受けたいという患者さんにお勧めできます。

漢方医学とは

漢方医学は、奈良時代以降に中国から伝わった中国医学を由来としますが、長い歴史の中で、日本人の体質や気候風土などに合わせて、独自に発展してきた日本の伝統医療です。

漢方医療には、植物や動物、鉱物など自然由来の生薬(しょうやく)で作られた「漢方薬」だけではなく、鍼や灸、食としての薬膳、生活習慣の改善を目指す養生など、複数のアプローチが含まれます。

漢方イメージ

本格的な漢方薬には専門家への相談が大事

漢方薬は、薬局で自費購入ができるものも多く存在しますが、本来は綿々と受け継がれてきた漢方医学理論をもとに、根拠をもって使用しないと効果が出ないばかりか、かえって悪い反応を引き起こすこともあります。
実際、医療用エキス製剤と同レベルの処方も一部薬局での購入が可能ですが、医薬品であるため思わぬ副作用が出ることもあります。また、残念ながら漢方治療が体に合わない方もいらっしゃいますので、当センターでは定期的な採血などを行い、安全性も担保して治療に当たるようにしています。

このように、漢方薬が本来持つ力を存分に、安全に発揮するには、専門的知識が不可欠です。
「体調がすぐれないのでちょっと漢方薬でも・・・」というレベルであれば、薬局で自費購入できるものもありですが、本格的に漢方治療を取り入れる場合には、専門医や専門薬剤師に相談することが大事です。

特に煎じ薬は、ごくわずかな専門家にしか処方することができません。当センターの担当医は、これまで煎じ薬治療にも従事してきましたので、貴重な伝統医学の知識と経験を現代に応用できるよう努力しています。
ただし、煎じ薬治療の患者さんには、品質の担保や応需してくださる薬局さんの負担もあるので、受診間隔は短めに設定させていただいています。

漢方医学センターが対象とする主な症状

伝統医学である漢方では、西洋医学とは異なるフィルターを通して人体を診ています。現代医学で診断がつかない、あるいは診断はついても治療法がないような症状であっても、漢方なら改善の糸口をみつけられるかもしれません。

特に、当センターでは、以下の症状の治療に力を入れています。担当医が小児科専門医でもあることから、小児や女性の患者さんが多いのも特徴です。

  • 機能的な症状(検査で異常が見つからないような諸症状)
  • 器質的な疾患に伴う諸症状(西洋医学のみでは改善しない場合の漢方治療併用)
  • 女性特有の症状(月経関連症状、更年期症状、乳がんホルモン療法に関する諸症状など)
  • 小児特有の症状(起立性調節障害、いわゆる虚弱児、食が細い、おなかが弱いなど)
  • 加齢とともにおこる諸症状(フレイル、ロコモティブシンドロームなど)

抗がん剤治療の副作用に対する漢方治療

がんそのものに対する漢方薬の効果は、今のところ限定的で、保険診療で扱えるもので抗がん剤の代替となるものはありません。しかし、抗がん剤治療に伴う種々の問題(食欲不振、倦怠感、体力低下など)に対して、漢方薬が非常に有効である場合があります。
特に当センターでは、乳がん治療で多く使われるホルモン治療薬の副作用(ホットフラッシュ、関節痛などの更年期様の各症状)に対する漢方治療において、多くの患者さんで効果が認められています。
当センターは、西洋医学の標準がん治療を否定するものでは一切ありませんので、ご希望の方は、必ずがん治療の担当医の先生とご相談の上、漢方治療を受けてもよいかご判断ください。

漢方医学センター
https://www.hosp.mie-u.ac.jp/section/kanpou/
当院の漢方医学センターの受診には、かかりつけ医からの紹介状が必要です。
また、鍼灸部門での治療(火曜日)は、保険外の自費診療となります。その他の鍼灸治療は、麻酔科ペインクリニックの鍼灸部門で対応しています。

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