令和6年能登半島地震の被災地へのDMAT等派遣状況
(2024年2月6日~3月5日)
能登半島地震発生から約4か月が経とうとしています。改めて犠牲となられた方々に謹んでおくやみを申し上げるとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
三重大学病院では、1月2日(火)のDMAT第一陣出動に始まり、被災地からの要請に応じて様々な職種のスタッフのべ44名を派遣し、現地の災害拠点病院や避難所などで活動を続けてきました。3月、被災地行政からの要請が終了したことに伴い、当院からの派遣も2月29日~3月5日の医療ソーシャルワーカーの派遣をもって一旦終了することとなりました。
現在は、新たな要請があった場合など必要時に迅速な被災地支援を行えるよう、準備としての体制を整えています。また、この間の被災地支援活動を通じて、当院の各職種が得た経験を当院の災害対策にも反映させ、いつか起こり得る災害発生時により多くの人命を救助することにつなげていきたいと考えています。
2月6日~3月5日までの派遣状況は下記の通りです。
派遣状況
JDA-DAT 第三陣
期間 | 2024年2月12日(月)~2024年2月15日(木) |
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派遣内容 | 管理栄養士1名 |
派遣先 | 石川県金沢市、他 |
主な活動 | ・1.5次避難所での食事提供 ・食環境の整備 ・避難所の巡回と情報共有 |
コメント | 金沢市内の避難所(いしかわ総合スポーツセンター)で、要配慮者に対し、キッチンカ ーを使用して食事提供支援を行いました。また、輪島市内では、避難所を巡回し、食事環境の整 備や栄養が十分に摂れているかを確認する栄養スクリーニングを行いました。 被害が大きい震源に近い地域では、まだ避難所の食事環境の実態把握が困難な状況でした。避難生活が長期化する中、食事・栄養に関する課題がみられ、継続的な支援が必要と感じました。私自身もJDA-DATの一員として引き続き協力できればと思います。 (栄養診療部 朝倉秋絵) |
災害支援ナース第二陣
期間 | 2024年2月23日(金)~2024年2月26日(月) |
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派遣内容 | 看護師(災害支援ナース)1名 |
派遣先 | 石川県金沢市の1.5次避難所 |
主な活動 | ・避難されている方の相談受付 ・避難されている方の健康状態について多職種と共有 |
コメント | 今回災害支援ナースとして活動した1.5次避難所は、災害が発生して1か月半以上経過してもなお、二次避難先の施設が決まらない方が多く、避難者はテントでの生活を強いられている状況でした。 その中で、私は相談受付係として主に活動させていただきました。相談を受けた内容として、「テントでの生活のため、夜なかなか眠れない」や「はやく地元に帰りたい」などの様々な声が聞かれました。また、少しでも早く2次避難先に移れるように、毎日多職種と連携し、避難者の健康状態について情報共有しました。 三重県からの派遣は私たち第10班で一旦終了しましたが、他県の災害支援ナースの活動はこれからも続いていくので、活動を見守っていきたいと思います。 (11階北病棟 寺尾聡真) |
JRAT 第一陣
期間 | 2024年2月24日(土)~2024年2月28日(水) |
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派遣内容 | 理学療法士3名 |
派遣先 | 石川県七尾市、他 |
主な活動 | ・避難所の身体活動状況・生活環境調査 ・避難者のリハビリテーション・トリアージ ・受援者の継続フォロー |
コメント | 三重大学病院のJRATとして、石川県七尾市や志賀町を中心に避難所・受援者の支援させていただきました。発災から2ヶ月近く経つこともあり、避難所の集約・統合が進められる中での活動となりました。集約により新たな住民を受け入れる避難所に対しては、保健師チーム・DWAT等と共同で環境の再調整を行い、移られる受援者に対しては、これまでのリハビリテーション支援が途切れないようにフォローを行いました。 活動を通して、現地の復旧・復興フェーズに応じた支援を継続していくことの重要性を感じました。 (リハビリテーション部 加藤俊宏) |
JRAT(日本災害リハビリテーション支援協会)とは
医師や理学療法士、作業療法士等、リハビリテーションの専門職で構成され、大規模災害の際に活動する支援チーム。
被災地での生活の早期再建・復興を目指して、リハビリテーションの視点から避難所の環境整備を行ったり、全身の機能が低下してしまう生活不活発病や災害関連死を予防する支援を行う。
医療ソーシャルワーカー(MSW)派遣 第一陣
期間 | 2024年2月29日(木)~2024年3月5日(火) |
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派遣内容 | 医療ソーシャルワーカー1名 |
派遣先 | 石川県金沢市 |
主な活動 | ・受診・搬送支援 ・介護保険に関する書類の作成 ・新規入所者の情報収集や状況の評価(アセスメント) ・長期入所者の支援 |
コメント | 1.5次避難所(いしかわ総合スポーツセンター)での支援活動の中で、①他団体との連携、②経験を語りたがらない方の生活課題のアセスメント、③手書きの記録、④方言による伝わりにくさ(聞き取りにくさ)という点に大変さを感じました。 避難所を退所して次の生活の場に移行できたとしても、心理面、経済面、介護面等、新たな生活課題が次々出現します。そのため、福祉の支援は長期に渡り必要となります。 そんな中、医療、地域、福祉と関わるMSWはとても重要な社会資源であることを改めて実感しました。被災された方が自ら生活を立て直すことができるよう、今後もMSWとしてできることを模索し続けていきたいと思います。 (医療支援課 小坂絵里加) |
医療ソーシャルワーカー(MSW)とは
社会福祉士資格または精神保健福祉士資格という国家資格を取得し、医療機関で働いている人。
普段病院では、療養中の患者さんの社会的あるいは経済的な課題の解決を支援したり、患者さんとその家族が退院後よりよい日常生活を送ることができるように、地域・行政等様々な機関との連携・調整を行っている。
三重大学病院は、万が一の災害時に地域の救急医療を担う「災害拠点病院」に指定されています。
災害発生時に、災害による負傷者への対応だけでなく、入院患者さんの医療を継続するという複数かつ重要な役割を適切に実行できるよう、当院では平時から様々な取り組みと準備を行っています。
Online MEWS「医療と防災」では、当院の防災対策やみなさんに役立てていただける防災のヒントをお伝えしています。