VOICE

がん看護専門看護師 向井綾香副看護師長

三重大学病院には、がん看護のエキスパートともいえる「がん看護専門看護師」が、現在4人在籍しています。今回のVOICEは、この春その4人目となった向井副看護師長へのインタビュー。がん看護専門看護師としても、一人の看護師としても、目指すのは、「患者さんに寄り添って、患者さんのこれからを一緒に考えることができる看護師」だそうです。
それ行け!三重大学病院。それ行け!向井がん看護専門看護師。がん患者さんの“これから”を支えるために。

*専門看護師とは、高水準の看護を実践するための技術と知識を有するとして、厳しい条件や審査に基づき、日本看護協会が認定した看護師のこと。現在、がん看護をはじめ13の専門看護分野ごとに認定されている。

看護部 副看護師長
がん看護専門看護師向井 綾香

がん看護専門看護師は、どういった役割を担っているのでしょうか。

専門看護師には、実践・調整・相談・教育・倫理・研究という6つの役割があります。患者さんやご家族はもちろん、それに関わる医療者やスタッフに対して、専門的な知識を用いて、これらの役割を果たすことが求められています。
その中で、がん看護専門看護師は、特に、患者さんの身体的・精神的な苦痛を理解した上で、QOL(生活の質)の維持や向上を目指した水準の高い看護を提供することが大きなテーマです。

専門看護師の主な役割

専門看護師を目指すようになったのはいつ頃からですか。

看護師になって7年目くらいの時、大学時代のゼミの先生に「専門看護師を目指してみたら」と声をかけていただいて。ちょうど自分自身の転機のタイミングでもあり、その一言で専門看護師を目指すことを現実的に考えるようになりました。
専門看護師にもいろいろな領域がありますが、今から振り返ると、自分自身の人生に必要なタイミングで、がん看護に携わる道に私自身が導かれる感じでした。

目指すべくがん専門看護師像というのはありますか。

専門看護師としての大きな役割をどう果たしていくかについてはまだこれからですが、患者さんに寄り添って、患者さんのこれからを一緒に考えることができるような看護師でありたい、スタッフがこんな看護師になりたいと思って、がん看護に興味を持ってくれるような関わりができる看護師でありたい、と思っています。

「患者さんのこれからを一緒に考える」看護は、いろいろな視点に立つことが求められると思います。

そうですね。がんの患者さんだからということではありませんが、私自身は、年齢や家族背景、既往歴など、その方の背景に注目し、それを大切にした関わりを意識しています。その方がどのような生き方をされてきたのか、今までどのような病気を経験し、乗り越えてきたのか。そうした今までのことが、その患者さんの“今”に影響していて、これからの生き方を考えるのに必要なことだと思っているからです。
それから、その方の背景を知ることは、その“人”に興味をもって関わることにつながっています。少しでもその人を知りたいという気持ちで関わることで、患者さんも看護師に心を開いてくれると思っています。

がん患者さんは、どんなときにがん看護専門看護師に相談したらいいですか。

治療や生活に少しでも“不安”を感じることがあるとき、どんな些細なことでも言葉に出して伝えてください。直接お答えしたり、力になれることばかりではないかもしれませんが、そのような場合でも、どこに相談したらよいのか、「つなぐ」ことはできるはずです。

最後に、がん患者さんにメッセージをお願いいたします。

患者さんだけでなく、ご家族にとっても、がんという診断は大きな衝撃だと思います。
でも、その悲しい気持ちや不安な思いを、決して一人で抱え込まずに、自分の気持ちを話せる人、出せる場所を見つけていただきたいです。そのような存在が、きっとこれからの生活を支える大きな力になります。
誰に話せばいいのかわからないときには、当院にあるいろいろな相談窓口や専門家をぜひ遠慮なく頼ってください。

看護部 副看護師長
がん看護専門看護師 向井 綾香

休みの日や時間がある時に大切にしていることは、気の知れた友人と楽しく会話をすることです。自分の言いたいことを話し、楽しい時は笑う、そのような自分らしくいられる時間は、仕事をするためのパワーの源です。

医療スタッフや事務職員、外部委託のスタッフを含め、三重大学病院の日々の運営に携わるのは、総勢約2500人。表から、裏から様々な形で関わるその一人ひとりの力や想いが、平常通りの診療を支えています。
安全な診療、優れた診療、質の高い診療、いずれも技術や設備だけでは成し遂げられません。
VOICEのコーナーでは、いろいろなスタッフの声を通して、三重大学病院の診療に欠かせない「人」としての側面をお伝えします。

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