五月病
今回は、「五月病」。実はこれ、病名ではなく、ゴールデンウイークが明けたころに、なんとなく体調や気分がさえないといった症状を総じて表す言葉です。
新年度で変化した環境にがんばって順応しようとしていた緊張の糸が、ゴールデンウイークに一気に緩んで、疲れがドッと出てしまったかもしれません。
実はそれ「五月病」かも知れません!!
ゴールデンウイークが明けた頃、「最近少し眠れなくなった」、「今まで楽に出来ていたことが出来なくなった」、「今まで好きだったことに興味が持てなくなった」、「何だか気力がわかない」などの症状を感じることはありませんか?
実はそれ、「五月病」かも知れません。
「五月病」は、なぜ5月に起こる?
新年度は、学生から社会人になったり、職場が変わったり、多くの方が大きな環境の変化を経験されます。慣れない環境の中で知らず知らずにストレスが溜まり、気づかないうちに無理をしていることも少なくないのではないでしょうか。
新しい環境の中で過ごして一カ月、そろそろ緊張の糸が切れやすくなるまさにこの5月の時期に、症状が出現しやすいことから「五月病」と呼ばれるようになりました。
甘く見ず、必要があれば診察を
「五月病」は、正式な病名ではありませんが、医学的には「適応障害」や「抑うつ状態」と関連があるとされています。
新しい環境が自分に合わず、無理が続くと、「適応障害」を起こしてしまうこともあります。また、五月病の症状が重くなっても適切な対応を行わずにいると、「うつ病」に進行してしまう場合もあります。
こんな人は要注意!
現代はストレス社会と言われており、誰もが「五月病」になる可能性はあります。特に以下に当てはまる方は要注意です。
皆さん、どれか思い当たることはありましたか。
五月病の予防
上記のチェックリストで一つでも当てはまった方は、要注意。一度立ち止まってゆっくり深呼吸してみましょう。そして、「ストレスは必ずある」と認識して、上手に付き合う方法を考えてみましょう。
ここにいくつか予防策をご紹介します。
月並みですが、「十分な睡眠と休息をとること」がまずは重要です。
また、アメリカ心理学会では、ストレス対策として、①ストレスの原因を避ける、②笑う、③友人や家族のサポートを得る、④運動、⑤瞑想の5つの方法を推奨しています。
仕事場にストレスの原因があれば、それを避けるのはなかなか難しいですね。その代わり、プライベートの時間に、料理、筋トレ、ランニング、サンドバッグ打ち、サイクリング、プラモデル、旅行、絵画、読書などの趣味に打ち込んだり、親しい人との連帯感を感じられるような楽しい時間を仲間と共有したり、こうしたことならどれかできるのではないでしょうか。
人は幸せを感じると、脳の中で「エンドルフィン」や幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」の分泌が高まることがわかっています。実は、これらのホルモンの分泌は、ストレスを軽減することにつながっているともいわれています。
また、適度な運動もストレス反応を和らげるために効果的です。しかし、今まで運動をして来なかった人がいきなり運動をするとかえって体を痛めたり、ストレスになってしまうことがあります。そのような場合は、まず買い物がてらに散歩するなど、「歩くこと」を習慣にしても良いかも知れません。
五月病と思ったら、どうしたらいいか
前述の通り、五月病は放っておくと、「うつ病」に移行する可能性があります。
「もしかして、五月病かな?」と思ったら、一人で抱え込まずに、上司や同僚、家族など身近な人に相談してみましょう。そして、早めに心療内科や精神科の受診を考えてください。
総合診療科 科長・教授 山本憲彦
総合診療科
科長・教授 山本憲彦
Message
「自分は全く大丈夫!」と思っても、もしかしたらまわりに五月病になっている人がみえるかも知れません。様子がおかしいなと思ったら、声をかけてあげてください。
みんなで五月病を乗り切りましょう!!
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