はたらく@三重大学病院

薬剤師のキャリア支援プログラム〈後編〉さまざまなキャリアパスを歩んだ先輩の声(File 2)

高度医療を担う特定機能病院から、地域の中核病院や薬局、あるいは教育機関まで、薬剤師としてのキャリアパスには多くの選択肢があります。そうしたいろいろなキャリアにふさわしい人材を育成し、その挑戦を支援するのも当院のような大学病院の薬剤部の重要な役割です。

今回、Online MEWS「はたらく@三重大学病院」のコーナーでは、当院の薬剤部が取り組む薬剤師のキャリア支援について取り上げ、前編でその中核となる「ファーマシーレジデント研修制度」についてご紹介しました。

後編では、実際にその研修に参加し、思い思いのキャリアパスを歩んできた3人の薬剤師に、キャリアアップを支える制度や環境の魅力などについて紹介してもらっています。

2人目は、「ファーマシーレジデント研修はキャリア形成の土台」と話す加藤薬剤師。最短で実現した薬物療法専門薬剤師の資格取得や、その後の専門性アップに研修はどのように役立ったのか詳しく聞いています。

薬剤部 薬剤師(薬物療法専門薬剤師)
加藤 千佳

現在は、薬物療法専門薬剤師として、より高い専門性を持って臨床に携わられていますが、専門薬剤師を目指す上で、薬剤部のキャリア支援プログラムをどのように活用してきたのですか。

幅広い疾患や診療科を経験し、薬剤師としての基盤を築きたいと考えていた私にとって、ファーマシーレジデント研修はキャリア形成の土台となる貴重な経験でした。

計4病棟・15診療科でさまざまな疾患の薬物治療に携わった経験は、疾患や診療科の枠を超えて患者さんを総合的に捉える視点を養う大きな機会となりました。

また、医師による講義や疾患セミナー、症例検討会を通して、薬物療法に関する理解を深めるとともに、問題点を抽出し、薬学的介入によって解決へ導く臨床能力も身につけることができたことも大きかったです。

こうした経験を重ねる中で、特定領域に特化するだけでなく、幅広い薬物療法の知識と経験をもとに患者さんを支える「スーパージェネラリスト」として成長したいと考えるようになりました。

レジデント研修で培ったジェネラリストとしての基盤は、その後の薬物療法専門薬剤師取得につながる大きな原動力となったことは間違いありません。

そこでの学びが専門薬剤師につながったのですか。

薬物療法専門薬剤師は、幅広い領域の薬物療法に精通し、高度な知識と技能をもって多職種と協働しながら最適な治療を実践できるスーパージェネラリストとしての役割を担う専門資格で、5年以上の研修歴を必要とします。

私は入職6年目に「薬物療法専門薬剤師」を取得しましたが、レジデント研修で培ったジェネラリストとしての基盤や、疾患横断的な視点で患者さんを捉える力は、専門資格取得を目指す上で大きな支えとなりました。

さらに、研修期間中から症例要約の作成や症例発表に取り組めたことも、資格取得につながった要因の一つだったと感じています。

薬物療法専門薬剤師として仕事をする今もレジデント研修さまざまな学びが役立っている。

薬剤部のキャリアプログラムのおすすめポイントを挙げるとすれば?

そうですね。私が当薬剤部のキャリアプログラムの魅力だと感じているのは、臨床・研究・資格取得をバランスよく経験しながら成長できる点です。

ファーマシーレジデント研修制度は薬物療法専門薬剤師養成研修コアカリキュラムに準拠しており、幅広い病棟での実践を通して、知識や臨床での考え方、実践力を段階的に高めることができます。

また、経験豊富な指導者のサポートのもと、研修中から学会発表や論文執筆などの研究活動に挑戦する機会もあります。

私自身、研修2年目には学会発表で優秀ポスター賞を受賞する機会にも恵まれました。

もう一つ魅力だと感じているのが、キャリアアップの可能性を広げる地域出向制度です。

地域の医療機関へ出向し、急性期医療とは異なる現場を経験することで、より幅広い視点から薬物療法の実践力を養うことができます。

私自身は三重ハートセンターに出向し、循環器分野の専門性を高めることができましたし、退院後を含む継続的な支援の重要性を実感する機会にもなりました。

このように、院内研修と地域出向の双方を経験でき、長期的なキャリア形成を見据えて着実に成長できる環境があることが、当薬剤部のキャリア支援制度の大きな魅力です。

さまざまなキャリアゴールを後押しする内容が含まれているんですね。

私自身もそう感じています。当院では、日々の研修や症例検討はもちろん、認定資格取得の学習方法や学会発表の準備に至るまで、様々な分野の専門資格を持つ経験豊富な先輩薬剤師から的確で細やかな助言や指導を受けることができます。

また、認定資格取得や学会参加にかかる費用の一部補助制度もあり、薬剤部全体で一人ひとりのキャリア形成や学びを後押ししてもらえる環境が整っています。

ライフイベントの影響を受けやすい女性薬剤師のキャリアパスを支援する仕組みもあるのですか。

はい。女性薬剤師もライフステージに合わせながらキャリアを継続しやすい職場だと感じています。

当薬剤部では、性別を問わず、専門資格の取得や研究活動、チーム医療への参画など、それぞれが専門性を高めながらキャリアを築いています。

実際に、副薬剤部長や主任として活躍している女性職員も複数おり、キャリアを描く上での身近なロールモデルとなっています。

また、産休・育休制度に加え、当直免除や時短勤務制度なども活用でき、ライフステージに応じた柔軟な働き方が可能です。

実際に産後復帰後もキャリアを継続している職員が多く、長く安心して働きながら成長できる環境が整っています。

そうした環境の中でさらに目指していきたいことはありますか。

現在、循環器内科の専従薬剤師を担当しており、三重ハートセンターでの出向経験も生かしながら、循環器領域での専門性をさらに高めていきたいと考えています。さらなる資格取得も視野に入れています。

2026年度診療報酬改定で新設された心不全再入院予防継続管理料にも示されているように、心不全診療における薬剤師の役割は今後ますます重要になると感じています。心臓リハビリテーションチームの一員として、医師・看護師・栄養士・理学療法士など多職種と連携し、心不全診療の質向上に貢献していきたいと考えています。

医師、看護師、薬剤師など多職種によるチーム医療が活発な三重大学病院では、薬剤師としての専門性をさらに深められる機会が多い。

これから薬剤師を目指す方や今後のキャリアについて迷っている、特に女性薬剤師の方へメッセージをお願いします。

これから薬剤師を目指す方や、キャリアに迷っている方には、まずは目の前の業務に向き合いながら、幅広く学び続けてほしいと思います。

必ずしも特定の領域を極めることだけが道ではなく、私のように薬物療法全般を強みとしていくことも一つの選択肢です。

特に女性薬剤師の方には、ライフステージの変化があっても学び続ける姿勢があればキャリアは着実に積み重ねていけることをお伝えしたいです。自分のペースで歩み続けることで、将来の選択肢はきっと広がっていくと思います。

薬剤師のキャリア支援プログラム〈後編〉
さまざまなキャリアパスを歩んだ先輩の声
「File 3:臨床も研究も―専門薬剤師を続けながら大学院生に」に続く

薬剤部 薬剤師(薬物療法専門薬剤師)
加藤 千佳

好きな食べ物は、和食、お寿司、アップルパイ、大内山コーヒー。苦手な食べ物は、エスニック料理、納豆、わさび、マスタードです。
休日はピアノを弾いたり、ヨガに通ったりしてリフレッシュしています。ライブやミュージカルを観に出かけたり、書店や文房具店を巡って気になる本やお気に入りの文房具を探したりするのも楽しみの一つです。好きなアーティストは、Mrs. GREEN APPLE、Official髭男dism、ゆず、Superfly。旅行先で美味しいものや景色を楽しむことも好きです。いつかギリシャ(サントリーニ島)を訪れ、青と白の美しい街並みやエーゲ海の景色を見てみたいです。

「はたらく@三重大学病院」では、働く場という視点で三重大学病院の取り組みをご紹介します。当院が理念に謳う「信頼と安心が得られる地域医療の拠点」として、質の高い医療を提供し、社会に貢献していくためには、スタッフが誇りと安心を感じつつ、それぞれの力を発揮できる職場である必要があります。そのための取り組みはもちろん、採用情報や研修制度など、いろいろな切り口で話題をピックアップしていきます。

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