災害時の通信手段
- 2026-7-27
- 医療と防災
- #災害拠点病院, #災害対策推進・教育センター, #災害時通信手段
地震や台風、豪雨などの大規模災害が発生すると、通信インフラの損壊や通信トラフィックの増加などにより、電話やインターネットといった通信手段が利用できなくなることが想定されます。
しかし、医療機関にとって、通信手段は、患者さんの生命を守る医療機能を維持するために欠かすことができません。特に「地域災害拠点病院」として、地域の医療機関の中心となり、多数の傷病者の受け入れや地域医療体制の維持といった役割を担う当院において、災害時の通信手段の確保は非常に重要です。
そのため当院では、「災害に強い病院」を目指し、通常のインフラが利用できない事態を想定した通信手段の確保を進めています。また、災害対応力のさらなる向上を図るため、定期的な訓練や研修を通じて、職員一人ひとりの知識・技術の向上にも継続して取り組んでいます。
36回目の「医療と防災」では災害時の通信体制の確保と職員の人材育成に関する当院の取り組みをご紹介します。
災害発生時の通信手段
当院で災害発生時に備えて確保している通信手段は、以下のとおりです。
防災行政無線
自治体や防災機関が、地震・津波・風水害などの災害発生時に住民に対して情報を伝達するための無線通信手段で、行政からの情報を直接受信できます。
衛星電話
人工衛星を介して通信を行う技術です。
通常の携帯電話が圏外となる場所でも利用可能であり、地下などの衛星通信が遮断される場所を除けば、どこでも通信が確保できるのが特徴です。さらに、県内の災害拠点病院とのやり取りにも活用することで、迅速かつ適切な対応が可能になります。
デジタル簡易無線
比較的短距離の通信を行うための無線通信手段です。
無線機同士で直接通信できるため、災害対策本部と現地スタッフ間の連絡手段として使用することで、迅速な情報の収集と対策指示が可能です。通信距離の制限はあるものの、適切な運用により効果的な通信インフラとなり得ます。
トランシーバー
双方向の無線通信を行う携帯型の無線機であり、送受信を同じ機器で行うため、容易かつ迅速に通信が行えます。
また、同じ周波数を使用することで、複数のトランシーバーが一斉に同じ情報を共有できるため、迅速な情報共有と対応が可能となります。
アマチュア無線
個人が国家資格を取得して利用する無線通信手段です。
無線機同士で直接通信でき、デジタル簡易無線に比べて通信距離が長いことが特徴です。被災地と支援機関の間で、詳細な状況報告や正確な支援要請の伝達を行う時などに使用し、円滑な救助・救援活動につながることが期待できます。
職員の人材育成に向けた取り組み
デジタル簡易無線訓練の実施と活用
当院では、職員に対してデジタル簡易無線の訓練を継続的に実施しています。
具体的にはデジタル簡易無線機の概要・操作方法の説明とシナリオを使用した実際の通話訓練などです。また各種の防災訓練の中で実際に活用し、実地訓練を行っています。
デジタル簡易無線訓練の様子




デジタル簡易無線訓練の受講者コメント
「いざ災害が起こったときに、急に使用するのは難しいなと感じたので、今回訓練に参加できて良い経験になりました。」
「実際に使用してみてわかることがたくさんあるので、訓練は大事だと思いました。」
「実際に災害が発生し避難する状況では、周囲の子供の泣き声などにより、デジタル簡易無線の音声が聞き取りづらくなることが予想されます。万が一地震が起きた際にも冷静に状況を判断し、行動できるよう心がけたいと思います。」
各種訓練での活用の様子


無線通信分野における資格取得による専門能力の強化
- 第三級陸上特殊無線技士(通称:三陸特)
総務省が所管する無線従事者資格の一つで、陸上の無線設備を操作するために必要な国家資格です。当院では資格取得を積極的に奨励しており、現在28名の資格取得者がいます。 - アマチュア無線
当院には、現在4名の資格取得者がおり、2025年6月に院内にアマチュア無線局を開局しています。災害地のアマチュア無線家との通信により被災状況等のリアルタイムな情報収集が可能です。
アマチュア無線通信の様子


資格保有者のコメント
「外部との連絡手段として無線通信を行うため、第三級陸上特殊無線技士の資格を取得しました。今後は、さらにアマチュア無線の資格取得にも挑戦したいと考えています。」
「院内でアマチュア無線クラブが発足し、有事の際には通信手段の一角を担うことができます。」
病院の通信インフラは、医療を支えるライフラインです。技術の進歩に対応しながら、安全で安定した通信環境の整備と運用の高度化を図り、災害時においても安心して医療を提供できる体制づくりを進め、地域の皆さまの安全・安心を支えてまいります。
災害対策・教育センター 担当:[清水]
三重大学病院は、万が一の災害時に地域の救急医療を担う「災害拠点病院」に指定されています。
災害発生時に、災害による負傷者への対応だけでなく、入院患者さんの医療を継続するという複数かつ重要な役割を適切に実行できるよう、当院では平時から様々な取り組みと準備を行っています。
Online MEWS「医療と防災」では、当院の防災対策やみなさんに役立てていただける防災のヒントをお伝えしています。






