摂食嚥下支援チーム

三重大学病院のチーム医療についてご紹介するこのコーナーの第一回目は、「摂食嚥下支援チーム」です。自力で食べるようになることは、身体的なメリットだけでなく、精神的な幸福にもつながります。当院では、6つの職種のスタッフが常置のチームを組み、食べる・飲むの機能を取り戻すためのサポートを行っています。
このチームで活動するリハビリテーション部の堀 真輔 言語聴覚士がその役割や活動についてご紹介します。
それ行け!三重大学病院。それ行け!摂食嚥下支援チーム。患者さんの心身のエネルギー源となる機能を取り戻すために。

摂食嚥下支援チームとは?

私たちが食べ物や飲み物を口にし、噛んで飲み込む機能を「摂食嚥下(せっしょくえんげ)機能」と言います。この機能が弱ってしまうと、適切に栄養を摂取できなかったり、食事をすることによって得られる喜びや満足感が損なわれてしまったりします。また、誤嚥性肺炎や窒息といった重篤な状態を引き起こす原因になることもあります。

摂食嚥下支援チームは、病気や長期の療養により弱ってしまった摂食嚥下機能を患者さんが取り戻し、健康と生活の質を向上できるよう支援を行うチームです。

摂食嚥下支援チーム
摂食嚥下支援チーム

摂食嚥下機能障害には多様な視点や専門知識が不可欠

当院の摂食嚥下支援チームは、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士、言語聴覚士という多職種で構成されていて、それぞれの専門性をいかして支援を提供しています。
この中には、耳鼻咽喉・頭頸部外科、リハビリテーション科、脳神経内科といった複数の領域の専門医や、摂食嚥下に関わる看護の専門家である摂食・嚥下障害看護認定看護師もいます。

摂食嚥下機能障害は、様々な要因によって引き起こされますので、このような多職種が連携することにより、患者さんの状態に合わせた総合的なケアを行うことが可能になります。
そして、何よりも異なる視点や専門知識の活用が、患者さんの健康と生活の質を最大限に向上させることにつながると考えています。

摂食嚥下支援チーム

機能の評価からリハビリテーションまで

摂食嚥下支援チームの主な活動内容は、「嚥下機能の評価」、「適切な食事形態や摂取方法の提案」、「患者さんの状態に応じたリハビリテーション方法や栄養投与方法の検討」です。
メンバー全員が参加する週一回の定期的なカンファレンスで、摂食嚥下障害をきたしている患者さんそれぞれの摂食嚥下機能の現状や治療の進捗などについて情報を共有し、今後どのような支援が必要かなどについて意見交換をします。
必要に応じて、嚥下機能を評価する検査を行い、その結果に基づいて嚥下リハビリテーションを実施し、機能の維持・向上や誤嚥性肺炎の予防につながるケアを提供していきます。

定例カンファレンス
患者さんごとにカスタマイズしたリハビリテーションを行うため、定例カンファレンスで議論を行う。

一人ひとりの個性を考慮したアプローチ

摂食嚥下障害は、いろいろな疾患や要因によって引き起こされ、患者さんごとに異なります。

また、食事を行うことは栄養的な側面だけでなく、人生における楽しみの一つでもあり、個々人の生活や幸福感に大きな影響を与える重要な要素だと考えられます。
そのため、患者さんに関わらせていただく際には、お一人お一人の状態、環境、嗜好など個別の特性を考慮して、どのようなアプローチがその患者さんにとってより良いものとなるかを考えることを大切にしています。

心身ともに大切なエネルギー源を取り戻すために

健康を保つための栄養摂取だったり、美味しい料理を食べることで幸福感を得たり、家族と食卓を囲んで団欒を楽しんだり、食べることは、心身ともに大切なエネルギー源です。摂食嚥下障害は、このような食事がもたらす利点を損なうだけでなく、時に生命を脅かしかねないものです。
しかし、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士、言語聴覚士などその障害を改善できるようサポートする多くの専門職がいます。私たちの支援により多くの方が嚥下機能を改善されてきました。われわれチーム全員が、患者さんの人生をより良くするためのお手伝いをさせていただきたいと思っていますので、嚥下機能についてお困りのことやお悩みなどありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。

リハビリテーション部 言語聴覚士 堀 真輔

リハビリテーション部
言語聴覚士 堀 真輔

三重県出身。好きな食べ物はお寿司で、回転寿司に行くのが何よりの楽しみです。趣味は映画鑑賞とゲームです。最近、『劇場版TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』を観てとても感銘を受けました。
摂食嚥下支援チームには、三重大学病院に入職して一年目から関わらせていただいています。このチームでの活動を通じて、様々な医師や他のメンバー、そして患者さんから多くの学びを得てきました。今後は、これまで学んできたことを活かしつつ、さらにこのチームの活動を継続し、少しでも患者さんの笑顔につながるような摂食嚥下支援を行っていきたいと思っています。

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