薬剤師のキャリア支援プログラム〈前編〉ファーマシーレジデント研修制度
- 2026-9-17
- はたらく@三重大病院
高度医療を担う特定機能病院から、地域の中核病院や薬局、あるいは教育機関まで、薬剤師としてのキャリアパスには多くの選択肢があります。そうしたいろいろなキャリアにふさわしい人材を育成し、その挑戦を支援するのも当院のような大学病院の薬剤部の重要な役割です。
今回、Online MEWS「はたらく@三重大学病院」のコーナーでは、当院の薬剤部が取り組む薬剤師のキャリア支援について前編と後編に分けてご紹介します。
まず、前編では、中核プログラムとなる「ファーマシーレジデント研修制度」について、薬剤部の岩本部長がご紹介します。
研修を通じて、必要な知識や技術だけでなく、「何に貢献できるか」を自分で考えて行動できる自立性や協働の意識を養ってもらうことを大切にしているのだそうです。

薬剤部 部長・教授
岩本 卓也
特定機能病院の薬剤師としての役割
特定機能病院である当院には、①高度な医療の提供、②高度の医療技術の開発・評価、③高度の医療に関する研修、④高度な医療安全体制への貢献が求められています。同様に、そこで働く薬剤師もこの役割が求められます。
こうした役割を果たすために、当院の薬剤部では、高度な専門性の追求につながる「専門薬剤師資格の取得」と教育・研究活動の推進となる「医学博士の取得」のいずれか、あるいはできるなら両方を目指すよう指導しています。
「何に貢献できるか」を考えて行動できることが基本
その上で目指すキャリアは、高度急性期医療を先導する薬剤師、地域医療を牽引する薬剤師、マネジメント力を備えた薬剤師、薬系大学で教育・研究に携わる教員など、それぞれです。
ただどのようなゴールを目指すとしても、それぞれの立場から「何に貢献できるか」を自分で考えて行動することが基本となります。
薬剤師としての専門性を養うファーマシーレジデント研修
そうした基本的な姿勢を持っていただきながら、薬剤師としての高い専門性を養えるよう支援する当院プログラムがファーマシーレジデント研修制度です。
ファーマシーレジデント研修は、薬剤師免許取得直後の薬剤師を対象とした2年間、あるいは地域医療研修を含む場合は3年間、薬剤師として必要な知識・技術に加え、高度急性期医療の現場で求められる実践力を養うことを目的としたものです。
この研修では、ジェネラリストとしての基盤を築くとともに、レジデント同士が協力して課題に取り組むことで、チームとしての遂行力を身につけていきます。

実践から研究まで、幅広く学べるプログラム
具体的には、1年次の医療薬学一般コース(一般研修)と2年次の医療薬学専門コースで構成されています。
医療薬学一般コースは三重大学で研修を受け、2~3年目は三重大学に在籍しながら、地域の連携病院に行き、実践的な経験を主体とした研修を進める形になります。
年間10回の医師による講義、在宅医療を学ぶことができる2週間の保険薬局実習、専門薬剤師や指導薬剤師からの直接的な指導に加えて、学会発表と論文執筆の方法までを学ぶことができる内容です。
また、研修目標の達成について、メンターからアドバイスを受けることもできます。
この当院のファーマシーレジデント研修制度は2016年度に始まり、10期生を迎えた2025年度までに計39名が参加しました。
専門資格取得に向けた支援
こうした研修を経て、3年目以降は専門資格の取得を目指す期間と設定しています。
若手薬剤師には、がん、感染症、緩和ケアなどのチーム医療に積極的に参画することで、臨床実績に加えて学術的な成果を積み重ねるよう指導しています。
専門薬剤師資格の取得・更新に関しては、指導薬剤師が支援する体制があります。
また、医学博士の取得を目指す薬剤師には、レジデント修了後に社会人大学院(臨床薬剤学)への進学を勧め、研究指導を行っています。
現在、薬剤部が研究責任者を務める臨床研究(倫理委員会承認)は30プロトコルを超えており、研究にとってもこれとない環境だと思います。
臨床現場で活躍できる環境づくり
こうした教育プログラムはもちろんですが、チーム医療の中で薬剤師が価値ある役割を果たすために必要な臨床スキルを磨けるよう、臨床現場で医師や看護師と協働できる機会づくりにも力を入れています。
また、より多くの時間を患者さんと直接関わるベッドサイドでの活動に充てられるよう、調剤関連業務に支援ロボットを導入しています。
計数調剤、散薬調剤、一包化調剤・鑑査、抗がん剤調製などの業務をロボットが補助し、薬剤師が臨床現場で活躍できる時間確保につなげています。
地域医療への貢献を通じた薬剤師の育成
三重県には、薬剤師が不足している地域があります。当院は、そうした地域医療を支援するため、2025年5月より薬剤師の在籍出向を開始しました。
支援先の一つである尾鷲総合病院には、3か月ごとのローテーションで、これまで5名の薬剤師が勤務しています。また、明和町にある三重ハートセンターには、5か月ごとのローテーションで、これまでに3名の薬剤師が勤務しています。
こうした取り組みは、地域医療への貢献が一番の目的です。同時に、薬剤師にとっても他施設での勤務経験が地域医療の理解や循環器疾患など特定の領域での専門性などを養う経験となります。
これから薬剤師を目指すみなさんへ
薬剤師が活躍する現場は、当院のような特定機能病院だけでなく、地域の医療機関や薬局、または研究や教育機関というように幅広く、施設によって求められる役割も変わります。
どのようなキャリアを目指すのであっても、当院のファーマシーレジデント研修は、それぞれのキャリアゴールに寄り添ってサポートできるように設計されています。
なによりも、多様な学びの機会が得られること、そして経験豊富な薬剤師から直接学べることが当院ならではの特長と言えます。
これから薬剤師としてのキャリアを築きたいと考えている方、もう一度新しいキャリアに挑戦したいと考えている方は、ぜひ私たちと一緒にチャレンジしてほしいと思います。
薬剤師のキャリア支援プログラム〈後編〉
「さまざまなキャリアパスを歩んだ先輩の声」に続く

薬剤部 部長・教授
岩本 卓也
浜松市出身。好きな食べ物はうなぎ。浜松のものより、津市の焼き方、味付けが好みです。
一方、お茶は、静岡も三重も有数の産地ではありますが、福岡県の八女茶を取り寄せて飲んでいます。
「はたらく@三重大学病院」では、働く場という視点で三重大学病院の取り組みをご紹介します。当院が理念に謳う「信頼と安心が得られる地域医療の拠点」として、質の高い医療を提供し、社会に貢献していくためには、スタッフが誇りと安心を感じつつ、それぞれの力を発揮できる職場である必要があります。そのための取り組みはもちろん、採用情報や研修制度など、いろいろな切り口で話題をピックアップしていきます。






