
新人看護師の成長を応援するプログラム ~Part 2 研修プログラム編~
- 2025-2-7
- はたらく@三重大病院
- #看護部, #看護師, #看護師キャリア支援
「はたらく@三重大学病院」のコーナーで前回から取り上げているのは、当院看護部の新人のための育成プログラムです。
前回Part 1では、プログラム全体の概要やサポート体制を中心にご紹介しましたが、Part 2の今回は、研修プログラムについてです。
「一人ひとりの患者さんに最善の看護を提供する」という部として理念を共有し、伝承しながら、新人看護師や助産師一人ひとりのスキルアップを技術面、心理面から丁寧に支えることが大事にされているプログラムの一端をお伝えします。

看護部
教育専任 看護師長 信岡 友絵
ステップアップを支える豊富な教育プログラム
三重大学病院の看護部が新人の看護師や助産師のステップアップを支えるプログラムには、前回も概要をご紹介した「看護師のクリニカルラダー(三重大学医学部附属病院版)」に加え、部門を越えた多職種が集まって行う合同研修などが含まれます。
技術を高めたい、成長したいという気持ちに応える豊富なプログラムが用意されています。
多職種と参加する新規採用者研修
新人にはまず、入職後に2週間ほどの新規採用者研修があります。この研修は、看護だけでなく様々な職種の新規採用者が一緒に受けるものです。
新規採用者研修では、当院の組織や理念、各部門について知ってもらうことはもちろん、医療人として、また当院の職員として求められる姿勢や行動について学びます。同時に、当院で働いているたくさんの職種のそれぞれの役割についても学ぶ機会となります。
座学だけではなく、多職種合同で行うグループ演習やディスカッションを通じて、今後臨床現場で協働していくメンバーとしてチーム医療を意識してもらうことも目的の一つになっています。
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看護師としての一段目を上るクリニカルラダー研修
看護師や助産師は、新規採用者研修を終えると、前回もご紹介した「クリニカルラダー レベルⅠ」の研修が始まります。
レベルIは、看護実践に必要な知識や技術を身につけることを目的とした内容で構成されています。
研修は毎月1~2回開催していますが、多くの新人が臨床現場で経験し始める頃になるべく時期を合わせ、座学だけではなくグループワークや演習、シナリオシミュレーションなどを取り入れて行っています。
様々な面から成長をサポートする振り返りの会や交流会
入職一年目には、この他にも定期的にそれぞれの成長を確認したり、悩みや課題に感じていることに教育チームが寄り添い、解決を手助けするための機会をできるだけ作っています。
社会人としての自分の姿を振り返る会は、1か月、3か月、6か月、12か月のタイミングに、また看護職としての成長を振り返る交流会も年3回設けています。
ここでは、実際の経験を振り返るリフレクティブサイクルを回しながら、これからなりたい姿や課題、そして、それに向けてどうしていきたいかを言語化してもらうようにしています。
交流会で特に大切にしているのは、「看護を語る」ことです。私たちは、臨床現場で多くの患者さんと関わり、日々の看護実践を行う中で色々な経験をします。その経験を振り返りながら、自分自身が大切にしていきたい看護を見つけて実践していってもらいたいと思っています。
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多職種合同研修
入職後半年頃に、看護職の新人職員だけでなく、当院で働く様々な職種の新人職員が集まり、チーム医療シナリオシミュレーション研修を行っています。
この合同研修では、多職種で構成されたグループのメンバーでチーム医療を意識しながら、協力して患者さんの急変対応を行うシミュレーションを中心に進めます。研修を通して、急変対応だけでなく、多職種間で協働していくことやコミュニケーションをとることの大切さの学びも得てもらっています。
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新人技術トレーニング
新人技術トレーニングは、どの部署でも実施機会のある16の技術について学べるプログラムです。
基礎教育で学んできた看護技術も含まれますが、主に、初めての技術や患者さんに侵襲の伴う技術を習得する機会としています。根拠や留意点を確認しながら、基本的な手順で実施することで、臨床現場で安全に実施できるように指導し、少しでも自信をもって取り組んでもらえるようにしています。
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技術トレーニングは、集中して取り組めるように部署から離れたスキルズラボで行い、丁寧な指導ができるよう1~2人にインストラクター1人がつく少人数で実施しています。
トレーニングは主体性を大切にしており、各技術の手順書をあらかじめ配布し、各自が事前学習した上で臨むことが可能です。そして、根拠や留意点を踏まえつつ、基本的な手順に沿って実施し、インストラクターの支援を受けながら習得できるようになっています。

メンタルヘルスケアについて
新人が社会人として、看護職として成長していけるように、心の面でのサポートも重視しています。
具体的には、実際の臨床現場におけるリアリティショックを受けやすい4月~7月にかけて、月1回のペースで「メンタルヘルス研修」を行い、新人同士で現状の共有や意見交換しながら4回の研修を行います。この研修を通して、自分自身が元気に働くための「自分の取り扱い説明書」を作ってもらいます。
平行して、6月から7月にかけて、所属部署の上司ではない教育担当の師長や副師長、副看護部長が新人一人ひとりと面談して、悩みごとや困っていることがないか、体調面の変化がないかなどを聞いて、必要な支援を行っています。
また、集合研修の中にはクリニカルラダー研修などの座学や技術研修だけでなく、先にご紹介した新人同士が交流したり、振り返りをしたりする機会も、新人同士が抱えている思いや悩み、がんばっている現状を共有できる場となっています。
悩んでいるときには、一人で抱え込まず、こうした機会の中で、それが自分だけでないことやみんな同じ状況であることを知り、少しでも前向きな気持ちになってくれたらと思っています。
その他にも集合研修では、元気のない新人や話をしたそうな様子の新人がいれば、教育担当や先輩が声をかけて話を聞くようにしています。必要であれば面談の機会をもち、新人が抱えている問題を一緒に乗り越えらえるよう支援をしています。
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これから看護師を目指すみなさんへ
看護師として活躍する上で根幹となる基礎的な知識や技術をしっかりと身につけてもらうことは、とても大事だと考えています。
当院の看護部研修プログラムは、幅広くたくさんの研修を計画し、シミュレーターを活用したシミュレーション研修や看護技術トレーニングも多く取り入れています。中でも新人の技術トレーニングではインストラクターがつき、その場で課題を見つけ解決に繋げる支援を受けられること、働きながら自信を高めたい技術を練習できることは、当院の強みだと思います。
毎年新人が多く入職してくれており、同じ部署の同期が何人かいるのも励みになります。一人でがんばるのではなく、同期、部署の先輩や上司、教育など部署以外の人たちがみんなで支えていきますので、ぜひ一緒に患者さんにとっての最善の看護を考えていけたらと思います。

「はたらく@三重大学病院」では、働く場という視点で三重大学病院の取り組みをご紹介します。当院が理念に謳う「信頼と安心が得られる地域医療の拠点」として、質の高い医療を提供し、社会に貢献していくためには、スタッフが誇りと安心を感じつつ、それぞれの力を発揮できる職場である必要があります。そのための取り組みはもちろん、採用情報や研修制度など、いろいろな切り口で話題をピックアップしていきます。