それ行け!三重大病院(診療科・部門紹介)

外来化学療法室

現在は、多くのがん患者さんが仕事や日常生活を続けながら、通院で治療を受けています。そんな通院での治療の場の一つが、抗がん剤による化学療法を行う「外来化学療法室」です。
医師、看護師、薬剤師などの多職種が携わり、患者さんが安心かつリラックスして治療を受けられるだけでなく、副作用などに関する相談も気軽にできるような雰囲気づくりを大事にしています。
外来化学療法室で中心的な役割を担う薬剤部の岡本副薬剤部長に安心安全のための運営などについて紹介いただきます。
それ行け、三重大学病院。それ行け、外来化学療法室。通院される患者さんの抗がん剤治療を全力で支えるために。

薬剤部 緩和ケアチーム
副薬剤部長 緩和医療専門薬剤師
岡本 明大

外来化学療法室は、どういった機能を担っているのでしょうか。

外来化学療法室は、患者さんが入院せずに、通院で抗がん剤治療(化学療法)を受けていただくための施設です。

安全かつ快適に治療を受けていただけるよう、専用のベッドやリクライニングチェアを備えたスペースで、多職種から構成される専門の医療スタッフがサポートしています。

通院での抗がん剤治療は、どういう流れで受けるのですか。

患者さんは、治療当日にまず、体調確認のための検温や採血などを受けていただき、医師の診察を受けてから治療が始まります。

治療時間は薬剤によって異なりますが、通常1〜3時間程度です。治療中は横になってリラックスした状態で受けていただけます。

治療後は体調の変化に注意して、水分補給や十分な休息を心がけていただくようにお知らせしています。副作用が心配な場合にもご相談を受け付けています。

通院でそうした抗がん剤治療を受けている方は多いのでしょうか。

新しい治療を始めるときは、まず入院で様子を見ながら行い、副作用などの問題がなければ、その後は通院で治療を続けることが多くなっていて、現在、当院で1日に調製する抗がん剤の約半分は、化学療法室に来られる外来患者さん用です。

そうして多くの患者さんが、仕事や普段の生活を続けながら治療を受けています。

いろいろな診療科で診療を受けられている患者さんが来られると思いますが、体制として大事にしていることはありますか。

まず、外来化学療法室は、医師、看護師、薬剤師をはじめとした多職種が連携して運営しています。

様々な診療科の患者さんが利用されるため、それぞれの診療科と連携して、患者さん一人ひとりについての情報共有をとても大切にしています。特に、入院から外来治療へ変更となった患者さんについては、病棟薬剤師とも情報を共有し、切れ目のないサポートができるよう心がけています。

担当医師や看護師と患者さんごとの治療の計画や履歴、当日の体調などの情報共有をした上で、化学療法室の調剤室で薬剤師が一つ一つ製剤の準備を行っている。

薬剤師が担っている役割も大きいですね。

私たち薬剤師チームが重視しているのは、「治療の妥当性評価」、「安全・安心な薬剤調製」、「患者さんへの丁寧な指導」、「副作用の早期発見と対応」です。

こうした役割に基づいて、患者さん一人ひとりの治療歴や体調、副作用の傾向を把握し、最適な薬物治療の継続ができるよう努めています。また、保険薬局でお薬を受け取る患者さんもおられるため、お薬手帳や情報提供書を用いて保険薬局へ情報を提供することも薬剤師の重要な役割です。

それだけではなく、安心して治療を受けていただけるよう、わかりやすい説明と相談しやすい雰囲気づくりも大切にしています。

副作用などに不安を持たれている患者さんからの相談もその一つですか。

はい。副作用については、治療前に想定されることや対処法について丁寧に説明し、患者さんやご家族の不安を和らげるよう心がけています。

治療中や治療後の副作用についても、定期的に確認し、必要に応じて医師や看護師と連携して迅速に対応できるようにしています。

もし化学療法室で治療を受けられる際に、気になる症状がある場合は、些細なことでも良いのでいつでも薬剤師にご相談ください。

化学療法について、薬剤師により詳しい相談をすることも可能なのでしょうか。

外来化学療法室には薬剤師が常駐しており、いつでも相談することが可能です。

2025年6月に診療科を限定して開始した薬剤師外来は、化学療法を受ける前の採血の結果を待つ時間を利用して行っています。医師の診察より前に薬剤師が患者さんと面談を行い、服薬状況や副作用の状況をお聞きし、その評価内容を医師と共有して、必要に応じて処方提案を行うことで、一人ひとりに適した薬物治療の実施につなげています。

また、化学療法室では、管理栄養士による栄養指導や緩和ケアチームスタッフとの面談なども行っています。

最後に化学療法室をご利用される患者さんへのメッセージもお願いします。

治療を受ける中で、不安や疑問を感じることもあるかと思いますが、私たち医療スタッフは皆さんの力強いサポーターです。
ひとりで悩まず、どんなことでもお気軽にご相談ください。患者さんが安心して治療に取り組めるよう、全力でサポートいたします。一緒に前向きにがんばっていきましょう。

化学療法室の薬剤師チーム
左から)吉田樹生、髙倉歩美、戎嶋みなみ、西村緋莉、真川明将、岡本副薬剤部長、中谷祐介、山中翔躍、高桑あかり

薬剤部 緩和ケアチーム
副薬剤部長 緩和医療専門薬剤師
岡本明大

三重県松阪市出身。趣味は、バレーボール、DIY(木工)です。また、実家が元喫茶店なのでコーヒーが大好きです。「1日1ユーモア」を心がけて、笑顔で過ごすことを大切にしています。

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