健康診断結果の見方シリーズ⑤「尿酸」
たくさんの項目や数値が並んでいる健康診断結果。専門用語や略語も多く、それぞれの数値をどう理解したらいいのかわかりにくいものです。
そこでOnline MEWSの健康アドバイスでは、「健康診断結果の見方シリーズ」として主なものを解説していきます。
1日かけて受けた健康診断、それぞれの数値や変化の意味をしっかり確認して、その後の健康管理や病気の早期発見に最大限活用しましょう。
シリーズ5回目は、痛風の原因として名高い「尿酸」について解説します。

尿酸とは?
尿酸は、体内の細胞成分(核酸)や食事に含まれるプリン体が分解されてできる “最終代謝産物(老廃物)”です。
尿酸は1日に約700mg産生され、このうち約500mgが腎臓から尿中に、約200mgが腸から便中に排泄されます。
尿酸値は血液検査で測ることができます。施設ごとに基準範囲は異なりますが、当院の採血検査では2.6~5.5mg/dLが基準範囲とされています。
尿酸値が高くなる原因
血液中の尿酸値が高くなるのは、体内で尿酸がたくさん作られているか、尿や便からの排泄量が減っているかの二つが考えられます。この両方が重複している場合もあります。
遺伝的な要因の他、食生活や運動不足などの生活習慣の影響で、尿酸値が高くなりやすい状態になります。

尿酸値が高くなると起こりやすい病気
尿酸値が7.0mg/dL以上の場合には「高尿酸血症」と診断されます。
高尿酸血症では、尿酸が血液や体液中に溶けきることが難しくなり、その結果、痛風発作、尿路結石などさまざまな病気を招きます。また、腎障害や動脈硬化の進行にも関連する可能性があります。
痛風発作が有名ですが、それだけでなく尿酸との関係が示唆されるものはいくつかあります。
痛風発作
血中に溶けきれなかった尿酸が、さまざまな誘因をきっかけに結晶となり関節に沈着し、そこに炎症が起こることで生じます。
主に明け方から早朝に、足の親指の付け根などに腫れを伴う激しい痛みを起こすことがあります。1週間から10日で軽快し、次の発作まで症状は消えることが多いです。
放置すると、痛風発作を繰り返すうちに、慢性的な関節炎に移行し、難治性の関節障害につながることもありますので、早めに医療機関を受診することが大切です。
尿路結石
痛風発作と同じように、腎臓で尿酸の結晶ができ結石となり、その結石が尿管に詰まると激痛が生じます。
尿管結石のうち、尿酸の結晶が原因となる割合はさほど高くはありませんが、尿酸結晶ができやすい状態だと、他の結石もできやすいと言われます。
腎臓との関係
尿酸値が高い状態が続くと、腎臓に小さい尿酸の結晶が沈着し、結果的に腎臓の働きが低下し、老廃物を尿中に排泄できなくなったり、体の塩分や水分の調整に影響したりする可能性が指摘されていますが、尿酸値を下げれば腎障害を確実に予防できるかはまだ解明されていないのが現状です。
動脈硬化性疾患との関係
心筋梗塞や脳梗塞など、心臓や脳の血管に関連する病気をお持ちの方では、高尿酸血症がある方が多く、尿酸が動脈硬化に何らかの影響を与えている可能性が指摘されています。
代謝性疾患との関係
血圧が高い方、血糖値が高い方、肥満の方には尿酸値が高い方も多く、代謝性疾患と尿酸値には密接な関係があります。
尿酸値を適当に保つための対策
高尿酸血症と診断されるような標準値を超えた尿酸値を下げるためには、まず、食事、運動、飲酒制限、体重管理をはじめとする生活習慣の改善が重要です。また、必要に応じて薬物療法も併用します。
痛風発作を繰り返す方や痛風結節がある方では、尿酸値を6.0mg/dL以下に保つことが望ましいとされています。
食事
摂取エネルギーを適正に保つこと、野菜や海藻、きのこ類をたくさん摂ること、十分な水分を摂ることが大切です。
その一方で、レバーや魚の干物、ビールなどのプリン体を多く含む食品、清涼飲料水やお菓子などの果糖を多く含む食品は控えるようにします。
また、ヨーグルトや牛乳などの乳製品には尿酸を下げる力があることが知られています。コーヒーは、尿酸値や痛風リスクが低いことが報告されていますが、効果には個人差もあることにご留意ください。
運動
ウォーキングやジョギング、サイクリング等の有酸素運動が有効です。
1日30~60分以上の有酸素運動を行うことが推奨されています。
飲酒制限
プリン体の含有量が多いお酒ほど尿酸値が上昇しやすいとされますが、含有量に関わらず飲酒は尿酸値を上げることが知られています。
尿酸値への影響を最低限に保つ摂取量の目安は、日本酒であれば1合/日、ビールであれば300~500ml/日、ウイスキーであれば60ml/日程度とされています。
ただし、飲酒量が少ないほどリスクは低いと考えられます。
体重管理
肥満症を合併している場合、体重を3~5%減量すると、尿酸値も改善することが報告されています。
薬物療法
体内での尿酸の産生を抑える薬や、尿酸の排泄を促す薬があります。痛風発作を繰り返す方・痛風結節がある方や尿路結石がある方などでは使用について優先的に検討します。
症状がない高尿酸血症では、まず生活改善を優先し、薬を使うかどうかについては、尿酸値の高さや合併症の状況を踏まえて担当医と相談することが大事です。
尿酸値を下げる治療を始めた直後は、痛風発作が起きることがあります。薬の投与量や、発作予防の薬の併用についても、担当医と相談しておきましょう。
「尿酸値が高い=すぐ薬が必要」ということではなく、症状や合併症、数値の程度で総合的に判断をすることが大切です。
尿酸値が低すぎるのも問題
ここまで、尿酸値が高い場合のリスクや対策についてご説明してきましたが、実は、尿酸値は高いだけでなく、低すぎるのも問題です。
2.0mg/dL以下で「低尿酸血症」とされ、激しい運動の後に急性腎障害を起こしたり、尿路結石のリスクになることがあります。
もし健康診断の結果で尿酸値の著しい低下が見られたら、原因を確認するために、医療機関の受診をおすすめします。
自覚症状のない尿酸値の異常
このように尿酸値が高いこと、あるいは低いことによる健康上のリスクが多く指摘されています。
しかしながら、ほとんどの場合、高尿酸血症にも低尿酸血症にも自覚症状がありません。自覚症状がないままに、全身に様々な影響を及ぼしている可能性があります。
こうした病気のリスクにいち早く気づくためにも、健康診断結果で尿酸値の異常が見られたら、できるだけ早く医療機関で相談することをおすすめします。
医療機関では、一般的に原因検索のための血液検査や尿検査、食事指導や生活指導、必要に応じて飲み薬による治療を行います。
前述した生活習慣の工夫は、高尿酸血症だけでなく、代謝性疾患など多くの疾患の改善にとっても有意義なことが多いです。ぜひ、日頃から取り組んでみてください。

糖尿病・内分泌内科
医師 山岸彩華
Message
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この記事が、ご自身の健康をふと見つめ直すきっかけになれば幸いです。
健康診断の結果を上手に活用しながら、これからも健やかで心地よい毎日をお過ごしください。
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