医療と防災イメージ

当院の免震構造とつつじ

みなさんは免震という言葉はよくお聞きになると思いますが、どのような仕組みになっているか知っていますか?
26回目の「医療と防災」では、地震に備えて取り入れている三重大学病院の免震構造とその仕組みについてご紹介します。

耐震と免震

地震による揺れに対応する建物の構造には、主に「耐震」と「免震」の2種類あります。

簡単に説明すると、耐震は、建物の壁や柱などを頑丈にして、揺れに耐えやすくする方法です。一方、免震は、建物と基礎の間に“免震装置”を設置し、揺れが建物に伝わりにくくすることで、建物の安全性を高めるものです。

南海トラフ地震発生時、三重大学病院周辺では最大震度6強の揺れが想定されています。そうした大きな地震が発生した場合にも、当院が病院機能を維持し、災害拠点病院としての使命を果たせるよう、当院の建物にはより揺れを抑え、ダメージを最小化すると期待できる免震構造が取り入れています。

当院の免震の仕組み

当院の免震を担う免震装置は、外来棟や病棟の建物の地下にあります。

その装置の中心となるのが病院の建物を支える巨大なゴムで、それが最大60センチメートル幅で動くクッションになりながら建物全体の揺れを減衰させます。

この仕組みでは、建物全体が免震装置とともに揺れ、上階でも下階と同じようにゆっくり揺れるため、スタッフや患者さんの被害を最小限に抑え、不安や動揺を軽減させることが期待できます。この免震構造は震度7の揺れでも震度5程度にする効果があるとされています。

免震つつじ

免震装置は地下に設置されているため見ることはできません。でも実は、その存在を感じられる場所があります。

それは「免震クリアランス」と呼ばれる部分で、免震装置により建物が動いた際、建物の外にある免震構造を持たない建物や器物などとの衝突を防ぐための隙間のことです。病院外側の地上部で確認できます。

平常時、免震クリアランスの部分をそのままの状態にしておくと、転落や転倒の危険、また雨水を溜め冠水につながりかねません。当院ではこの部分に津市の花でもある「つつじ」を植えて、機能性と景観の両立を図っています。
毎年5月頃にはピンクの花が咲き通る人の目を楽しませてくれます。また職員からは「免震つつじ」の通称でも親しまれています。
みなさんが「免震つつじ」を見かけた際には、「免震装置が建物を守り、この免震つつじの部分まで病院が動くことで地震被害を最小限に留めるのだ」、と注目して見てくださいね。

感染症危機管理センター前の免震クリアランス[免震つつじ]の様子

災害対策推進・教育センター [日下部]

三重大学病院は、万が一の災害時に地域の救急医療を担う「災害拠点病院」に指定されています。
災害発生時に、災害による負傷者への対応だけでなく、入院患者さんの医療を継続するという複数かつ重要な役割を適切に実行できるよう、当院では平時から様々な取り組みと準備を行っています。
Online MEWS「医療と防災」では、当院の防災対策やみなさんに役立てていただける防災のヒントをお伝えしています。

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