健康一言アドバイス

手足口病

夏に流行しやすい手足口病は、ウイルスが原因の感染症で、発熱の他、口内炎や手のひらや足の裏にできる水疱が主な症状です。一般的には、幼児や小さな子どもさんが多く感染するものとして知られていますが、実は大人でも感染することがあります。
そこで、今回の健康一言アドバイスでは、意外に知られていない大人の手足口病についてお話しします。

原因

手足口病の主な原因は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスといったウイルスです。子どものときにかかっても、また大人になってから感染することがあるのは、いろいろな種類のウイルスが原因になっているからです。

夏に流行する理由

これらのウイルスは、暖かい気候や高湿度の環境でよりよく生存し、感染力が高まります。また、感染者との接触や飛沫によって広がるため、集団での活動が増える夏に感染が拡大しやすくなります。
三重県で見ると、本年はまだ手足口病の発生報告は少ないですが、やはり従来、夏に感染者が増える周期性が見られます。

三重県の手足口病定点当たり患者届出数(2023年23週現在)
(三重県保健環境研究所より引用)

発症したら何科に行けばいいのか?

一般的にみられる症状は、発熱、口内炎、手のひらや足の裏の発疹です。
発熱症状があれば、内科に行きましょう。あるいは、発熱はないが、口内炎や発疹が見られれば皮膚科となります。複数の症状が見られ、必要と判断された場合は、受診した科が他の科を適切に紹介します。

大人の症状

子どもは、重篤になる場合もあり注意が必要ですが、大人の場合には、通常は軽度です。しかし、症状はウイルスの種類により多様であるため、楽観視ばかりもできません。
例えば、CA6型(コクサッキーウイルスA6)の場合、発症数週間後に、爪が先端の方からはがれてくる「爪甲脱落症」が認められることがあります。まれに、EV71型(エンテロウイルス71)の場合は、成人でも髄膜炎や脳炎など中枢神経合併症をきたすこともあります。

罹患中に気をつけること

基本的には、予後良好な疾患です。安静にして十分な休息をとり、適切な水分補給を行うことが重要です。万が一お子さまが感染しても、登校登園停止規定はありません。
ウイルスが原因ですので、うがいや手洗いを心がけてください。

当院での診察症例(大人)

CA6型

CA6型

CA16型

CA16型

皮膚科 研究医長・講師 近藤誠

皮膚科 研究医長・講師 近藤誠

皮膚科
研究医長・講師 近藤誠

Message

コロナの規制緩和により、いろいろなウイルスが増加傾向を示し出しています。手足口病についても、今後の流行が懸念されますので、基本的な感染症対策は継続しましょう。

「健康一言アドバイス」では、医療や健康など皆さんに身近な疾患や気になる話題を取り上げ、その領域の専門家がわかりやすくお伝えしています。

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