擦り傷やケガのきれいな治し方
アウトドアに出かける機会が増える季節。ついつい活発になり、転んだり、ぶつけたり、すりむいたり、切ったり、まさかと思うようなところでケガをする場面も多いですね。
そんなとき、まずどんなケアをするのがいいのでしょうか。きれいに早く傷を治すためのポイントをアドバイスします。
まずは「洗い流す」が肝心
擦り傷や切り傷をできるだけきれいに治すためには、まずはぬるま湯やお水で3〜5分ほど、きれいになるまで洗い流すこ
とです。
以前は、消毒をし、絆創膏で傷が濡れないようにしていました。しかしそれでは傷の中に入った砂や泥などの異物が残って
しまい、感染や汚い傷跡の原因となってしまいます。少し出血していても構いません。泡石鹸を使って周囲の汚れをきれいにできればなお良いです。
この洗浄は、傷口がふさがるまで毎日行うのがおすすめです。洗った後はきれいなタオルでそっと水をふき取って、できればウェットな状態を保てる絆創膏を貼ってください。なければ普通の絆創膏で構いません。
ただし、大量の出血をしていたり、洗浄で激痛を感じるような場合には、まずは病院にいくことが大事なのは言うまでもありません。
キズが治る長い道のりを知ってケアをする
一般的に傷は最初の2〜3か月は赤みを増して少し盛り上がり、その後、徐々に白くなっていき、半年から一年かけて平らになります。皆さんが、すっかり乾いてもう治ったかなと思っていても、実は傷はまだまだ治る途中にある場合が多いのです。この間に行う、傷をさらにきれいに治すためのコツが二つあります。
一つは、表面にテープを貼って傷が伸びないように補強することです。傷を負った皮膚は、しばらくの間柔らかく伸びやすいため、この伸びが傷跡の原因になることがあります。このテープはマイクロポアというものがお勧めです。当院の医療売店の他、扱っているドラッグストアもあります。この紙テープは3日に一回程度、お風呂に入る前に剥がして傷をきれいに洗い、また入浴後に貼りかえます。
テープでかぶれが生じた場合には、逆に傷跡が汚くなるので直ちに使用を中止します。もう一つは、傷跡の紫外線対策です。傷は日に当たると色素沈着(シミ)になったり、逆に白く色が抜けたりすることがあると言われています。予防には、先ほどのマイクロポアテープで保護するか、または外出時に日焼け止めクリームを塗ります。このようなテープやクリームの処置は傷が治ってから3ヶ月程度続けることをおすすめしています。
なお、日本創傷外科学会のHPでさらに詳しい傷の治療について紹介されています。
赤みがどんどん強くなったり、痒みやジクジクが続くような場合には形成外科で診察させていただきますのでお気軽にご相談ください。
みなさんがケガしないことを祈りつつお待ちしております。
形成外科 科長 成島 三長
「健康一言アドバイス」では、医療や健康など皆さんに身近な疾患や気になる話題を取り上げ、その領域の専門家がわかりやすくお伝えしています。