いろいろな病気と治療

白内障

眼科 助教
水元啓太郎

そもそも白内障とはどういった病気なのですか。

白内障とは目の中にある“水晶体”というレンズの役割をする部分が濁ってしまう病気です(図1)。

カメラのレンズが曇った状態に近いため、「物がかすんで見える(霧視)」、「光が眩しい(羞明)」といった症状が出ます。

図1 正常な水晶体と白内障の水晶体

原因は?

多くは加齢性で、早い方は40代から症状が出て、80歳以上になるとほぼ100%白内障はあると言われています。

加齢性ということは、完全に予防することはできませんが、紫外線対策や禁煙、強度近視にならないように目を酷使しない生活は進行抑制には良い取り組みです。

また、強度近視に加え、糖尿病やアトピー性皮膚炎、ステロイド治療歴、外傷歴なども白内障のリスク因子といわれていますので、気を付けていただく意味はあると思います。

どのような治療が中心に行われるのですか。

初期の段階では、進行を緩やかにする目薬を使うことがあります。

ただし、濁った水晶体を元に戻すことはできないため、治療としては手術になります。手術は濁った水晶体を取り除き、その代わりに眼内レンズを入れます。

眼内レンズの選択肢も増えていると聞きます。

現在、白内障治療に使われている眼内レンズには大きく分けて、近くもしくは遠くのどちらかに焦点が合う「単焦点レンズ」と、遠くと近くの両方に焦点が合う「多焦点レンズ」の2種類があります(図2)。

単焦点レンズのメリットは保険適用であり、ピントが合う距離では非常にクリアに見えやすく、歪みが少なく慣れやすい点です。

一方、デメリットは距離が変わると見えにくくなり、理論上眼鏡が必要な点です。例えば、遠くが見やすいレンズにすると近くは見えにくいので、その場合は術後も老眼鏡が必要となります。

多焦点レンズのメリットは広い範囲でピントが合いやすいため、眼鏡やコンタクトを掛け替える回数が減る点です。

一方、デメリットは保険適用外のため単焦点レンズに比べて高価であることと、細かい作業をする際には単焦点レンズほどくっきりしないことです。また、暗い場所だと光のまわりに薄いリングがあるように見えたり(ハロー現象)、光を中心にスジ状の光があるように見えること(グレア現象)があります。

レンズを選ぶ際の基準はあるのでしょうか。

当院では、レンズに関しては、運転の有無、読書の頻度など、遠くを見る活動が多いか、近くを見る活動が多いかといった生活スタイル、眼鏡の使用の許容範囲、あるいは費用面などを踏まえ、最終的には患者さんと相談の上で決めております。

図2 眼内レンズの主な特徴

早ければ40代から白内障の症状が出る方もいるというお話でしたが、受診や治療のタイミングはどう判断したらよいのですか。

運転しづらくなってきた方や眩しさなどで日常生活に支障が生じてきた方は、手術適応のタイミングかもしれません。

一方で、眼鏡やコンタクトレンズでの矯正で視力が出ている方は、診察の結果、経過観察となる可能性があります。

また、他の目の疾患による視機能障害で術後の視力改善の見込みが乏しい方や全身状態が不安定の方は、手術が適さないと判断されることもあります。

白内障手術に伴う合併症など、知っておくべきことがあれば教えてください。

まず、術中の合併症としては、水晶体の袋のうしろの部分が破れたり(後嚢破損)、袋を支えている糸が切れる(チン小帯断裂)ことが挙げられます。その場合、複数回の手術が必要となることがあります。

また、術後の合併症としては目の奥の感染(眼内炎)、網膜のむくみ(黄斑浮腫)、1~2年以上経ってから水晶体のうしろの部分が濁ってくる(後発白内障)などが発症する場合もあります。

特に眼内炎は、発症する可能性は非常に低い(3000例に1例程度)ですが、最悪の場合失明することがあります。これを避けるためには、術後点眼を正しく行うことや保護メガネの装用が大切です。

白内障手術は、合併症のない“簡単な”手術と認識されている方がみえますが、実際は上記のような合併症があり、術後経過を良くするためには患者さんのご協力が必須です。

三重大学病院の眼科では、どういった体制で白内障治療に対応していますか。

当院では、日帰り外来手術、または入院手術、全身麻酔下での手術に対応しています。

基本的に、白内障の手術は眼球への部分麻酔で行われます。それにより、患者さんは手術による痛みを感じることはほとんどありませんが、体勢を動かないようにある程度保持していただく必要があります。

不安が強い方や病気などで震えがあり、安静保持が難しい方は、麻酔科と連携し、全身麻酔下での手術にも対応できるようにしています。

また、当院では、他の眼科の病気を合併していて、難症例とされる白内障の手術についても多くの実績があります。難症例に経験を重ねた医師が、多種多様な手術機器を駆使することで様々な症例に対応しています。

難症例には、がんや糖尿病など重症疾患のある方の白内障手術も含まれますか。

がんなどの重症疾患がある方の場合も、全身状態が安定していれば手術可能であることが多いです。

状態によっては、白内障手術の可否についてかかりつけ医に情報提供をお願いするなどして、総合的に判断しております。

最後に患者さんへのメッセージをお願いいたします。

「情報の8割は眼から入る」といわれており、眼は命と直結はしないものの、とても重要な臓器です。目のことで気になることがある方は是非眼科受診ください。

眼科 助教
水元啓太郎

最近の小さな幸せは、三重大学病院内にある「ミーベのパン工房」の焼きたてパンを食べることです。甘党なので、つい甘い系のパンに手が伸びてしまいます。

大学病院は待ち時間が長く、大変お疲れになると思いますので、通院の一つの楽しみになれば幸いです。

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