NBC訓練【災害テント・除染テント展開】
大規模災害発生時、医療機関では多数の傷病者に対応するため、速やかに、かつ安全に医療を提供できる場所を確保する必要があります。
その際に役立つのが、災害テントや除染テントなどの医療用テントです。
災害テントは多目的に活用が可能で、除染テントはNBC災害と呼ばれる特殊災害発生時に重要な役割を果たします。
しかし、こうしたテントは非常に大型で、慣れていないと展開するのは簡単ではありません。そこで、当院では、実際の場面でスムーズに展開できるように、平時から手順の確認を含む練習も行っています。
「医療と防災」の18回目は、４月16日（火）に行った、災害テント・除染テントの展開についてご報告します。
災害テントとは
災害発生時に、必要とするスペースを臨時的に確保するために設置するテントです。
これを展開することで、屋外の空間も医療を提供する場として有効活用できるようになります。また、物資の保管場所、患者の一時待機所等、幅広い用途にも使用することができます。
当院は、大型の災害テントと除染テントを1張りずつ保有しています。
除染テントとは
NBC災害発生時等に、被災者の除染を行うためのシャワー室が付いたテントです。
NBC災害とは、核（Nuclear）、生物（Biological）、化学物質（Chemical）による特殊災害のことで、自然災害や事故、テロによって引き起こされます。原子力発電所事故、集団食中毒事件、地下鉄サリン事件などがそれにあたります。
NBC災害は、発生頻度は低いものの、多数の被災者が出やすく、対応には特別な知識が必要となるだけでなく、診療に携わる者の防護や患者の除染が不可欠であることなどの特徴があります。
除染テントは、汚染された衣服の「脱衣」→汚染物質を洗い流す「シャワー」→安全な衣服の「着衣」という一連の流れを行えるように中で部屋が区切られおり、被災者の救命・苦痛の軽減・悪化防止と、医療従事者等への二次汚染防止を目的として使用されます。被災者だけでなく、医療者の安全を確保し、迅速に適切な治療を行う上で、除染テントは重要な役割を果たすことになるのです。
当院では、空気で膨らませて展開する除染テントを採用しています。
災害テントの展開
災害テントは、普段はコンパクトに収納されていますが、展開時のサイズは、縦6.4m、横6.5m、高さ３mと非常に大きくなります。その重量は100kg以上に達します。このテントは、慣れている方であれば少人数でも展開できるように設計されていますが、大人数で展開する方がよりスムーズです。
今回の展開訓練には当院の職員約50名が参加しました。
今回の訓練では未経験者がほとんどの中、経験者が指揮を執りながら倉庫から取り出して展開するまで約25分程度で行うことができました。
除染テントの組み立て
今回の所要時間は災害テント25分、除染テント10分程度でしたが、練習を積むことによってもっと早く展開できるようになります。
日頃は倉庫の中に眠っているテントですが、有事の際には誰もが速やかに展開できるように、定期的な展開訓練を今後も行っていく予定です。
災害対策推進・教育センター 担当：［はるか］
三重大学病院は、万が一の災害時に地域の救急医療を担う「災害拠点病院」に指定されています。
災害発生時に、災害による負傷者への対応だけでなく、入院患者さんの医療を継続するという複数かつ重要な役割を適切に実行できるよう、当院では平時から様々な取り組みと準備を行っています。
Online MEWS「医療と防災」では、当院の防災対策やみなさんに役立てていただける防災のヒントをお伝えしています。
