健康アドバイス

健康診断結果の見方シリーズ⑥「心電図」

たくさんの項目や数値が並んでいる健康診断結果。専門用語や略語も多く、それぞれの数値をどう理解したらいいのかわかりにくいものです。
そこでOnline MEWSの健康アドバイスでは、「健康診断結果の見方シリーズ」として主なものを解説していきます。
1日かけて受けた健康診断、それぞれの数値や変化の意味をしっかり確認して、その後の健康管理や病気の早期発見に最大限活用しましょう。

シリーズ6回目は、「心電図」。
心電図って何を測っているのでしょうか。

健康診断などで「心電図検査」を受けたことがある方は多いと思います。一方で、結果を見ても「何を調べているのかよく分からない」「異常と書かれていて不安になった」という声も少なくありません。

心電図はとても身近で、重要な情報を与えてくれる検査ですので、ぜひその結果を理解して、健康に役立てていただきたいと思います。

まず、心電図とは、心臓の「電気の流れ」を記録したものです。

心臓は筋肉でできていますが、その動きは電気的な刺激によってコントロールされています。この電気が規則正しく流れることで、心臓はリズムよく拍動し、全身へ血液を送り出しています。

心電図は、その電気の流れを体の表面から捉え、波形として記録する検査です。

心電図の歴史は1903年、オランダのウィレム・アイントホーフェンが「弦線電流計」を用いて心臓の電気活動を初めて記録したことに始まります。

当時の装置は350kgを超える巨大なもので、操作には5人を要したといわれています。

その後、アイントホーフェンは現在の心電図の基礎となる「P波・QRS波・T波」といった波形の定義や、1秒あたり25mmという記録速度を確立し、1924年にノーベル賞を受賞しました。

図1:ウィレム・アイントホーフェン(左)と初期の心電図装置である「弦線電流計」(右)。この装置では両手と片足を食塩水に浸しながら測定していた。
(写真はいずれもパブリックドメインです。)

その後、医療技術は大きく進歩し、さまざまな検査機器が登場しましたが、心電図検査は現在でも簡便かつ重要な検査として広く用いられています。短時間で体への負担も少なく、多くの情報が得られる点は大きな利点といえるでしょう。

さて、現在の検査では、胸や手足にいくつかのパッド(電極)を貼り付けます。

複数の電極を貼りつける理由は、それぞれ異なる方向から心臓の電気の流れを観察していると考えると分かりやすいでしょう。例えば、同じ対象を複数の角度から撮影すると立体的に把握できるように、心電図も多方向から記録することで、より詳細な情報を得ることができます。

図2:心臓の電気の流れを表す心電図の波形

心電図では、さまざまな異常を見つけることができます。

代表的なものは「不整脈」で、脈が速すぎたり遅すぎたり、あるいは不規則になったりする状態です。

また、「心筋梗塞」や「狭心症」といった心臓の血流に関わる異常を捉えることも可能です。さらに、長期間にわたり心臓に負担がかかっている場合には、心筋が厚くなっていることが心電図から示唆されることもあります。

また、心電図は過去の記録と比較することが非常に重要です。同じ所見が以前から続いているのか、それとも新たに出現した変化なのかによって、評価や対応が大きく変わるためです。

そのため、一度の結果だけで判断するのではなく、必要に応じて繰り返し検査を行っていくことが大切です。

一方で、心電図はあくまで心臓の電気的な活動を記録したものであり、これだけですべての異常を判断できるわけではありません。

症状があるにもかかわらず心電図に異常が現れない場合や、逆に心電図上の異常があってもすぐに治療が必要とは限らない場合もあります。

心電図の結果は、心臓の状態を細かくコードで示す専門的な「ミネソタコード」という国際的な分類で評価される場合と、医師が所見をわかりやすく言葉で説明している場合があります。一般的には、異常の程度や危険性に基づいて、「正常」「軽い異常(経過観察)」「精密検査が必要」などと表記されることが多いです。

大切なのは、“異常”と書かれていても必ずしも病気とは限らず、精査が必要かどうかの目安として示されている点です。

一方で、動悸、胸の痛み、息切れ、ふらつきなど、気になる症状がある場合には、心電図の結果にかかわらず医療機関を受診することが重要です。

心電図は診断の手がかりの一つであり、問診や他の検査と組み合わせて総合的に評価することで、はじめて正確な判断につながります。心電図検査を正しく理解し、必要に応じて適切な行動につなげることが、健康管理においても重要ではないかと思います。 

循環器内科
外来医長・助教(科内講師)
香川芳彦

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