VOICE

検査部 杉本 新部長/教授

正確な診断や効果のある治療には、原因や病状を明らかにする正確な検査が欠かせません。三重大学病院の検査部は、まさに様々な検査の実施と検査体制の維持・管理を行う部門です。
そんな検査部に、今年4月、新たな部長が就任しました。検査を通じて診療を支えるだけでなく、8月にはその分野の教育・研究をリードする教授としての役割が加わった中、どんな抱負を抱いているのか聞きました。
それ行け!三重大学病院。それ行け!杉本 新部長。診療効果を高める検査をさらに充実させるために。

検査部
部長・教授杉本和史

この度、教授に就任した検査部は、患者さんに直接会うことが少ない部門です。どのような役割を担っているのですか。


臨床検査は、医師が患者さんの問診や診察では得られない情報を可視化して提供しています。具体的には、血液、尿、唾液、糞便などから情報を得る「検体検査」と、心電図、呼吸器機能や超音波検査など生体機能を検査する「生体検査」にわかれます。検査部はこれらの検査をすべて行い、患者さんの病気の診断、治療に必要な質の高い情報を提供するだけでなく、手術のサポートなどの役割も担っています。

検査の質を担保するためには、検査機器の精度管理を行う必要がありますが、それも検査部の技師が行っている重要な仕事です。

その部門を率いる立場として、特にどのような役割を担っていくのでしょうか。

私の最も重要な役割は、三重大学病院で行われる検査が円滑に進むようにすることです。
現在当院の検査技師は56名いますが、その人員配置や新規採用などを技師長、副技師長と適宜話し合いながら決めていくことも、その環境をつくるための任務です。

臨床検査は内容が多く、それぞれ高度に専門化しているため、私自身の検査専門医として日々知識をアップデートする必要を感じています。

検査専門医としてのキャリアはどのように築いてこられたのですか。

私は1992年に三重大学を卒業し、第一内科に入局しました。もともとは、消化器肝臓内科の、なかでもウイルス性肝炎の基礎、臨床が専門分野です。学位取得後、2000年から2年半アメリカのペンシルバニア大学に留学し、C型肝炎の基礎研究を進めました。
これ以外にも、腸内細菌やがんのバイオマーカー探索など幅広い研究してきました。

検査部では、これらの消化器疾患にこだわらず、他の診療科とも協力しながら、様々な研究を行っていきたいと考えています。

そのような経験をいかし、検査部の部長・教授としての抱負や特に力を入れていきたい取り組みを聞かせてください。

まずは大学病院の検査の充実が最優先です。これまで行えてなかったタスクシェアにも貢献したいと思います。

研究の面では、技師も論文発表を習慣としていけるようにサポートしていきたいと考えています。将来は、検査部でも学位が取得できるようにできればと思っています。

教育としては、医師の卒前・卒後ともに、検査値を正確に読むことだけでなく、適切な検査のオーダーの仕方も教えていきたいです。診断に必要な検査は不足なく行われなければいけませんが、不必要な検査は患者さんに負担をかけるだけでなく、病院の経営にも支障をきたします。

次世代を担う検査医専門医の育成も課題の一つです。また、大学病院だけでなく、県内の検査技師の教育を全県あげて行い、三重の検査のレベルアップにも取り組みたいと考えています。

では、最後に患者さんにメッセージをお願いします。

検査部のスタッフ全員が、各診療科をサポートし、患者さんに精度の高い検査を提供できるよう日々努力しております。

臨床検査は、今では水や空気のようにあって当たり前となり、検査部の技師が患者さんや医師の前に出ることはあまりありません。検査部だけでなく、いろいろな人が日々の病院の診療のため陰で力を尽くしていることをご理解いただければ幸いです。

検査部
部長・教授 杉本和史

生まれも育ちも津市です。高校時代は天文学に興味があったのですが、あまりに狭き門だったので、なんとなく医学部に入りました。今考えてみれば、人のために尽くすなどの高尚な動機ではありませんでした(すみません)。
音楽はいろいろなジャンルを聴きますが、特に1950年代のJazzが好きです。最近は、YouTubeで昔の音源を聞くことができるため非常に重宝しています。
読書は、歴史ものや漢文、昔の推理小説に加え、最近は哲学書も読むようになりました。
もう一つの趣味として、ウォーキング。休日に一人で考え事をしながらいろいろなところを歩いています。三重県は、東海道のほかに伊勢街道、伊勢別街道、伊勢と熊野速玉大社を結ぶ熊野街道などがあり、ウォーキングには最適だと思います。昨年秋に桑名の七里の渡しから伊勢内宮までは何度かに分けて歩いたので、今は伊勢神宮の摂社、末社を含む125の神社を歩いて廻っています。これが終われば、いつか東海道、熊野街道を踏破したいと思います。最近では熊野古道に文字通り熊が出没するようになったので、出会ったときのシミュレーションを頭の中でしています。
休日は、基本的に午前中に15~20kmほど歩き、午後はテレビで巨人戦を見ながら野次をとばすか、ごろごろしながら本を読んでいます。

医療スタッフや事務職員、外部委託のスタッフを含め、三重大学病院の日々の運営に携わるのは、総勢約2500人。表から、裏から様々な形で関わるその一人ひとりの力や想いが、平常通りの診療を支えています。
安全な診療、優れた診療、質の高い診療、いずれも技術や設備だけでは成し遂げられません。
VOICEのコーナーでは、いろいろなスタッフの声を通して、三重大学病院の診療に欠かせない「人」としての側面をお伝えします。

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