VOICE

感染管理認定看護師 塚脇看護師

「感染管理認定看護師」は、感染症の予防や管理などに関して高い専門性を持つ看護師のことです。新型コロナウイルス感染症でも重症者の受け入れを担ってきたように、特定機能病院としての三重大学病院は、特に感染管理が不可欠。現在、3名の感染管理認定看護師が重要な役割を果たしています。
今回のVOICEは、その3人目となった塚脇美香子看護師長。背景には、やはり新型コロナウイルス感染症での経験があったようです。
それ行け!三重大学病院。それ行け!塚脇感染管理認定看護師。患者さんや医療スタッフを感染から守るために。

*認定看護師とは、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を持つとして、厳しい条件や審査に基づき、日本看護協会が認定した看護師のこと。

感染制御部

感染管理認定看護師塚脇 美香子 看護師長

感染管理認定看護師とは、どのような役割や専門性を持つ看護師なのですか。

感染管理認定看護師の役割は、一言で言うと感染管理に関わる専門知識をもって、患者さんや医療スタッフを感染から守ることです。

そのために、医療機関や地域の感染状況を把握したり、それに合わせた感染対策のプログラムを構築し、推進・実践したりする能力が期待されます。

感染管理認定看護師を目指したのには、何か理由があったのでしょうか。

2019年12月に救命救急・総合集中治療センター(現:高度救命救急・総合集中治療センター)へ異動になり、2023年2月末まで同センターで看護師長として看護管理をしていました。

ちょうど新型コロナウイルス感染症が流行した時期で、高度急性期と急性期の病床機能の役割を担う当院は、感染患者さんの中でも、人工呼吸器やECMOを使用する重症者の受け入れを行っていました。

当初は、有名人が亡くなったり、致死率が高かったりと、医療関係者にとっても、新型コロナウイルス感染症は未知の感染症。現場で直接患者さんと接するスタッフは、日々「怖い」という思いを抱えながら、働いている状況でした。
その中でも、感染者を受け入れ、できる限りの看護を行うと同時に、その他の患者さんを感染から守るために、マニュアルを作成したり、ゾーニングをしたり、患者さんの看護に必要な知識・技術の習得のためのトレーニングを準備したりと、本当に大変な時期だったと思います。

あの状況を振り返ったとき、管理者として自分自身にもう少し感染管理に関する知識があれば、もっとスタッフが安心して働ける状況を整えることができたのではないか、という思いがありました。それで、感染管理を専門的に学びたいと思い、認定看護師を目指しました。

感染管理認定看護師として、特に意識していることはありますか。

医療関連感染対策における目的は、感染症から患者さん・職員を守ること、そして感染を広げないことです。感染を持ち込まない、持ち出さない、広げないために感染対策を実施します。

実際に、感染対策を実施するのは現場のスタッフですので、マニュアルの内容をもとに、各現場で実施可能な対策を、現場の管理者やスタッフと一緒に考えることを大切にしています。

三重大学病院の感染管理認定看護師は、塚脇師長が加わって3名になりました。

他の2名は、どちらも感染管理認定看護師として多くの経験を持つ、とても頼れる先輩ナースです。私自身の困りごとに対し相談に乗ってもらったり、会議の場面でアドバイスをもらったりしています。

また、それぞれの部署の師長という立場から、院内感染対策の現状について、気づきを共有していただいたり、現状に即した感染対策の実施になるよう、アドバイスをいただいたりしています。

病院内では、新型コロナウイルス感染症だけでなく、常に様々な感染リスクに備える必要があります。これから、感染管理認定看護師の専門性をどのように生かしていきたいと考えていますか。

まずは、当院の標準予防策の遵守率向上のために活動したいと思っています。

新型コロナウイルス感染症の流行を経験し、急変時、災害時と同じく、新興感染症の発生に備えるためには、平時から感染対策を標準的に実施できることが重要です。そのため、標準予防策の遵守率を向上させ、日常業務の中で、標準的に感染対策ができる人材育成につながるよう、活動できればと思います。

感染制御部
感染管理認定看護師

塚脇 美香子 看護師長

小学生のころ、自分が入院したときの経験から、看護師を目指しました。感染管理だけでなく、看護においては、現場のスタッフと一緒に考えることを大切にしています。

医療スタッフや事務職員、外部委託のスタッフを含め、三重大学病院の日々の運営に携わるのは、総勢約2500人。表から、裏から様々な形で関わるその一人ひとりの力や想いが、平常通りの診療を支えています。
安全な診療、優れた診療、質の高い診療、いずれも技術や設備だけでは成し遂げられません。
VOICEのコーナーでは、いろいろなスタッフの声を通して、三重大学病院の診療に欠かせない「人」としての側面をお伝えします。

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