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令和7年度 栄養診療部・給食会社合同避難訓練

災害発生時、病院では医療体制の維持はもちろん、「食」の確保と安全かつ適切な提供体制も大きな課題となります。なぜなら、食事は患者の健康管理上きわめて重要であるからです。

災害が発生すると、病院の厨房においては停電、断水、火災、浸水などによる調理機能の停止、あるいは火災の発生源になることも予測されます。また、エレベーターが停止し配膳ができない、インフラの被害状況によっては調達自体が途絶えるといった事態も考えられます。さらに、経口摂取が難しかったり、嚥下機能が低下した患者さんやアレルギーのある患者さんなど個別性への対応も欠かせません。限られた環境の中で、いかに給食の体制を維持するか――その鍵を握るのが、平時からの備蓄と訓練です。

「医療と防災」の30回目では、10月21日に行われた令和7年度栄養診療部・給食会社合同避難訓練についてご報告します。

三重大学病院の備え

当院では、災害に備え、常に入院患者、教職員、学生用の3日分(1日3食)の非常食及び飲料水を備蓄し、ローリングストックでの管理を行っています。また、栄養診療部では年に1回、管理栄養士と給食会社(株式会社EVERYFOOD)スタッフが合同で地震発生時を想定した避難訓練を行っています。

訓練の概要

令和7年度の訓練は、地震が発生し、大津波警報が発令された(災害レベル4)という想定で行いました。

参加した管理栄養士と給食スタッフは、発災を知らせる全館放送を聞き、安全を確保した後、厨房内に設置してある避難時アクションカード(役割ごとに取るべきアクションを簡潔にまとめたカード)に沿って行動を開始しました。

当院がある地域では、最大クラスの南海トラフ地震の場合、発生から57分で30㎝の津波が到達すると予想されています(令和7年3月現在)。これを念頭に、特に今回は、各自の避難と並行して、1階に保管してある経口・経管栄養剤やとろみ剤を非常階段で5階の備蓄倉庫まで運び、浸水から守るという訓練を中心に実施しました。

訓練の様子

訓練開始時はどう動けばよいか分からず戸惑う様子もありましたが、アクションカードを確認しながらリーダーの指示に従ってスムーズに動くことができました。

多くの食料を持って階段で5階まで上がるのは体力的にも負担が大きいものでしたが、職員は迅速に搬送していました。

参加者の声

「避難訓練の約1か月前から机上訓練を実施していたため、避難訓練当日はその知識を活かした行動ができたと思います。今回の反省点も取り入れた机上訓練を今後も行いたいと思います。」

「事前の机上訓練とアクションカードの活用により、当日はスムーズに状況把握や指示出しができました。一方で、次の行動に移るまでに時間がかかる場面もあったため、今後の訓練では改善していきたいです。」

本訓練を通じて、災害時における「食の確保」には、平時からの準備と現場の連携が不可欠であることを再確認しました。今後も栄養診療部と給食会社が一体となり、より実効性の高い訓練と備蓄体制の強化を進めていきます。

リーダーの指示を聞くメンバー
非常階段で食料を運ぶ様子
5階備蓄倉庫へ避難

災害対策推進・教育センター担当:[舞野]

三重大学病院は、万が一の災害時に地域の救急医療を担う「災害拠点病院」に指定されています。
災害発生時に、災害による負傷者への対応だけでなく、入院患者さんの医療を継続するという複数かつ重要な役割を適切に実行できるよう、当院では平時から様々な取り組みと準備を行っています。
Online MEWS「医療と防災」では、当院の防災対策やみなさんに役立てていただける防災のヒントをお伝えしています。

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